E2Eテスト自動化ツールを比較!選び方や費用、種類についてわかりやすく解説

Autify, Inc.

モダンなWebアプリケーションやモバイルアプリの開発において、E2Eテストは品質を確保するうえで欠かせない存在です。しかし、アプリの複雑化に伴い、手作業でのE2Eテストには膨大な工数がかかるようになってきました。そこで注目されているのが、E2Eテストの自動化ツールです。

本記事では、E2Eテスト自動化ツールの種類や選び方、導入費用などについて、わかりやすく解説していきます。自動化ツールの導入を検討されている企業の方や、E2Eテストの効率化に関心のある開発者の方々にとって、ツール選定の参考になる情報をまとめているので、ぜひ参考にしてください。

手作業に頼らずE2Eテストを自動化し、開発の生産性を大幅に向上させる秘訣が、ここにあります。

E2Eテストとは?

E2Eテストは、システム全体の機能や動作を実際のユーザー視点から確認する手法です。「エンドツーエンドテスト」または「システムテスト」とも呼ばれています。

アプリケーションやシステムが期待通りに機能し、異なるサブシステム間の連携や依存関係に問題がないかを確認することが目的です。ネットワークやデータベースなど、さまざまな要素を含めてシナリオを構築し、システム全体の正常性を保証します。

このテスト手法は、エンドユーザーが直面する状況をシミュレートし、実際の利用環境に近い条件下でテストを行うため、一つのサブシステムの不具合でもシステム全体のテスト結果に影響を与える可能性がある点は注意が必要です。

E2Eテストの概要

単体テストや結合テストはアプリケーションの一部をテストしますが、E2Eテストはエンドツーエンドでのユーザーストーリーを通して、システム全体を検証します。

これにより、ユーザーが直面する状況を模倣し、実際の使用環境に近い条件で動作を確認できます。E2Eテストは、ユーザー視点に近く検証範囲も最も広いため、システム全体の正常性を保証する上で欠かせない要素です。

E2Eテストと他のテストとの関係

テストケース数の望ましい比率をピラミッド型に可視化した、「テストピラミッド」という概念があります。コスト(記述コスト・実行コスト)と忠実性(挙動が反映されている度合い)が高く、実行速度と決定性(安定稼働の度合い)が低いテストほどケース数を減らすべきだという考え方です。

引用元 https://gihyo.jp/dev/serial/01/savanna-letter/0005

ピラミッド型で表現されているテストの粒度をユニットテスト、インテグレーションテスト、E2E(end to end)テストの三段階で示しています。ユニットテストが最も多く、E2Eテストが最も少ない状態に近づけることで、開発速度と信頼性のバランスが高いといえるでしょう。

高いコストと忠実性、低い速度と決定性に位置するE2Eテストでは、期待するユーザーストーリーを最初から最後まで一連の流れとして検証して、想定通りの動作をするかのテストをします。テスト内容がユーザー視点に近く、検証するコード範囲も最も広いため、ネットワークやデータベースから、アプリケーションや依存関係など、さまざまなサブシステムがE2Eテストの結果に影響を与えることになります。

E2Eテストはなぜ重要なのか?

上に述べた通り、E2Eテストはシステム全体の正常性を保証するためのテストで、単体テストや結合テストで見つけづらい問題を見つけられます。具体的には、Webアプリケーションのフロントエンド部分とバックエンド部分のインターフェースの不整合や、外部システムとの連携部分の不具合などを発見できるでしょう。

また、E2Eテストでは、システム全体をユーザーインターフェースを用いてテストします。これは、E2Eテストがもっともユーザー目線のテストであることを示しています。E2Eテストを実施することで、ユーザビリティを阻害する原因を早い段階で見つけることができ、早期対処を促すことが可能です。

例えば、E2Eテストを行うときに見つかる事象として、「アプリケーションのパフォーマンスが悪い」や「ページの表示速度が遅い」などの問題が早期発見できます。

最近のシステムのユーザーは、アプリケーションやWEBサイトを使い慣れている方が多く、WEBサイトの読み込み・表示スピードが遅い場合、すぐに離脱する傾向があります。Cloudflareの調査では、モバイルサイトの読み込み時間が3秒を超えると、ユーザーの53%が閲覧を中止するという結果が出ています。

複数のワークフローでテストとモニタリングを行うE2Eテストは、ほかのテスト手法よりも網羅性が高く、ユーザーの離脱率や売上げに直結する問題点を迅速に特定することが可能です。

E2Eテストを実施することで、問題点を早期に洗い出し、ユーザーエクスペリエンスの向上に繋げることができるでしょう。

E2Eテストを自動化することの重要性

E2Eテストは非常に重要ですが、一方で実際のユーザーインターフェースを用いて操作する必要があるため、手動で実施するには多くの時間を要します。また、プロダクトの機能の増大に比例してテストケースの数も多くなるため、すべてのテストケースを手動で実行するために、多くの人的リソースを確保する必要性もあります。

そのため、E2Eテストを自動化することが重要です。E2Eテスト自動化ツールを活用することで、「テスト作成」「テスト実施」「メンテナンス」などのコストを大幅に下げることが可能になり、運用面や作業面で多くのメリットを感じることができるでしょう。

また、手動での実施に比べ、高い品質を維持しつつ低コストでテスト実施や管理ができること、開発プロセス全体の効率が向上し、プロダクト提供を行う上でよりよい影響をもたらすことも見込めます。

E2Eテスト自動化によるメリット

E2Eテストの自動化は、効率性と品質向上の面でメリットがあります。

手動のテストは時間と労力を大量に消費し、人的ミスが発生しやすいです。一方、自動化によりこれらの問題を解消し、迅速かつ正確なテストが可能となります。

例えば、大規模なWebアプリケーションの更新時には、数百もの異なるシナリオをテストする必要があります。手動では数日かかるこの作業も、自動化ツールを使えば数時間で完了し、すべてのケースが確実にテストされます。さらに、テストが毎回同じ手順で実行されるため、結果の一貫性が保証される点が魅力です。

したがって、E2Eテストを自動化することにより、効率と品質の両方を大幅に向上させることが期待できます。

E2Eテスト自動化ツールの種類

E2Eテスト自動化ツールには、ノーコード型とコード型の2つの主要な種類があります。

ノーコード型ツールは、プログラミングの知識がなくても使用でき、ビジュアルなインターフェースを介してテストシナリオを作成することが可能です。代表的なツールには、レコード&プレイバックツールと呼ばれる、ユーザーが行うであろう実際の操作を記録し、それをテストスクリプトに変換するものがあります。

一方、コード型ツールは、PythonやJavaなどのプログラミング言語を使用してテストスクリプトを記述するものです。代表的なツールには、Selenium WebDriverやAppiumがあります。

選択はプロジェクトのニーズや、チームのスキルに応じて行われます。ノーコード型は初心者や非技術者にとって使いやすい一方、コード型は柔軟性やカスタマイズ性が高いことが特徴です。

ノーコード型

ノーコード型ツールとは、プログラミング未経験者でも自動テスト作成が行えるように補助するツールです。

特徴

・レコードとして保存

ノーコードツールでは、テストステップが再生可能な形で保存され、自動再実行が可能です。

・ローコードオプション

テストコードを生成するローコードツールも提供され、より柔軟性があります。

・技術的なバックグラウンド不要

テスターやビジネススタッフ向けであり、プログラミングの経験がなくても利用可能です。

向いているチーム

技術的なバックグラウンドを持たないテスターや、ビジネススタッフに適しています。プロダクトオーナーなど、ユーザーのニーズやビジネスの観点からソフトウェアの品質に関心がある人々にとっても利用しやすいツールです。

コード型

コード型ツールとは、テスターや開発者が自らソースコードを書くことで、テストを作成する伝統的な自動テスト手法です。代表的なツールにはSelenium WebDriverがあります。

特徴

・プログラミングスキル必須

テストコードのプログラミングが必要になるため、JavaScriptやPythonなど、何らかの言語でのプログラミングのスキルが必要です。また、テスト対象のアプリケーションの画面構造をある程度理解する必要があるため、WebであればHTMLやCSS、モバイルであればSwiftなどの知識が必要になる場合があります。その他、XPathなどのクエリ言語の習得が必要になる場合もあります。

・柔軟なデバッグ機能

テストツールの中には、テストコード自体のトラブルシューティングに便利な機能を提供しているものがあります。例えば、テストの実行中に発生したアプリケーションの内部エラーを実行ステップと合わせて表示したり、スクリーンショットや動画を付けて表示したりする機能です。これらはノーコード型ツールでも提供されていることが多いですが、コード型ツールはより柔軟なデバッグが可能です。

・柔軟なテストコード記述

コード型ツールでは、ユーザーが任意の操作をプログラムコードとして記述できます。例えば、特定のボタンをクリックする前にページが完全にロードされているかを確認する、特定の要素が表示されるまで待機する、といった詳細な操作を実行可能です。

また、繰り返しや条件分岐などの処理も得意なので、大量のテストデータの生成などのユースケースにも対応できます。

向いているチーム

プログラミングスキルを持つ開発者やテスター向けです。特定のシナリオに対して柔軟にテストを設計したい場合や、デバッグなどを駆使して詳細な値を確認し、プロダクトの品質を高めていきたい場合に適しています。

E2Eテスト自動化ツールの選び方

自動化ツールを選択する際には、予算、プロジェクトの要件、チームのスキル、テストメンテナンスの容易さ、レポーティング、他ツールとのインテグレーション、そしてテクニカルサポートを考慮する必要があります。

適切な選択は、長期的なROIや効率性を確保することにつながるため重要です。以下でそれぞれ重視すべきポイントをご紹介します。

チームのスキルセット

チームのスキルセットは、自動化ツールを選択する上で重要な要素です。

テスト自動化にはプログラミング知識が必要な場合があり、チームがそのスキルを持っているかどうかを評価する必要があります。技術的な壁が高い場合、ノーコードやローコードのツールを選択することで、テスト自動化の採用をスムーズに進めることが可能でしょう。

チームの経験や能力に応じて適切なツールを選択し、テストプロセスを効率化することが重要になります。

テストシナリオの作りやすさ、メンテナンスのしやすさ

テストシナリオの作成やメンテナンスのしやすさは、自動化ツールの選択において重要な要素です。

適切なツールを選ぶことで、テストケースやシナリオを効率的に作成し、変更やアップデートが容易になります。メンテナンス性の高いツールは、テスト対象の変更に柔軟に対応し、テストスクリプトの修正や再利用を容易にできる点で優秀です。

また、テストケースの再利用や共有機能があるツールは、作業の重複を減らし、テストスイートの効率的な管理を可能にします。これにより、テストプロセス全体の効率が向上し、品質向上と開発の迅速化が実現されるでしょう。

レポーティング

レポーティングは、テスト自動化において重要な役割を果たします。

テスト結果を可視化し、問題を迅速に特定し、品質向上に役立つ点で魅力的です。優れたレポーティング機能を持つツールは、テスト結果を詳細に分析し、不具合を報告したり、テストスクリプトを改善したりするためのデータを提供します。

また、ビジネスのステークホルダーや関係者に対して、テストの進捗や成果を示すための重要な手段にもなります。レポートは、リリースの準備が整っているかどうかを確認するのにも役立ち、プロジェクトの成功に不可欠です。

他のツールとの連携

他のツールとの連携は、テスト自動化において重要な要素です。

CI/CDツールやテスト管理ツール、プロジェクト管理システムなどとの統合により、開発プロセス全体を効率化し、迅速なフィードバックや品質向上を実現します。特にCI/CDツールとの連携は、自動化されたテストの実行や結果の監視を自動化し、開発サイクル全体を迅速にするうえで不可欠です。

また、コミュニケーションツールとの連携により、チーム全体が常に最新の情報を共有し、プロジェクトの進行状況を把握できます。これにより、チームのコラボレーションが強化され、効率的な開発が促進されるでしょう。

テクニカルサポート

テクニカルサポートは、テスト自動化ツールの使用中に発生する技術的な問題や不明点に対処するための重要なリソースです。

良質なテクニカルサポートがあれば、ツールの導入や使用中に生じる問題に迅速に対応し、プロジェクトの進行をスムーズにします。

オープンソースのツールでは、コミュニティやフォーラムを通じてサポートを受けることが一般的ですが、有料のツールではより迅速かつ専門的なサポートを提供することが期待できるでしょう。

特に、開発中のソフトウェアにおけるエラーのトラブルシューティングのためには、それらのソフトウェアのスクリーンショットやエラーログ、場合によってはコードの一部を提供する場合があります。有料のツールで、サポートチームとの間にNDA(秘密保持契約)を結ぶことが出来れば、こうしたケースにおいて大きなアドバンテージを受けられます。

テクニカルサポートの品質は、プロジェクトの成功に大きく影響するため、適切なツールを選択する際の重要な要素です。

E2Eテスト自動化ツールの導入費用

E2Eテスト自動化ツールの導入には、スタートアップコストとランニングコストがあります。スタートアップコストでは、ツールの選定や導入時にかかる費用があり、従業員への教育、マニュアル作成といった運用に至るまでの準備費用がかかる点に注意です。

ランニングコストでは、作成したテストシナリオのメンテナンスや保守が必要になり、導入時だけでなく運用していく中で、どの部分で費用が使えるか検討する必要があります。

この章では、テスト自動化を行うために必要な準備やテスト自動化で失敗しないための注意点をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

テスト自動化を行うために必要な準備

テスト自動化を行うために必要な準備は、以下の5つがあげられます。

1.適切なE2Eテスト自動化ツールを選定

2.導入・運用担当者を指定し、担当者にトレーニングを実施

3.テスト戦略や計画を策定、自動化すべきテストケースを選択

4.テスト対象や予想されるリスクを考慮し、優先順位を付ける

5.テストデータや環境の準備

上記の流れに加えて、必要に応じて適切なフレームワークやライブラリを選択、導入し、テストスクリプトの開発を行うチームもあるでしょう。定期的なメンテナンスと改善を行うことで、テスト自動化の効果を最大化することも可能になります。

以下で重要なポイントをより深く解説していきます。

E2Eテスト自動化ツール

E2Eテスト自動化ツールについてですが、先ほどの「E2Eテスト自動化ツールの種類」の章でもご紹介した通り、ノーコード型とコード型があります。それぞれ特徴や導入に向いているチームなどありますので、まずはノーコード型かコード型どちらがよいか、といった枠組みを考えることがよいでしょう。

導入・運用担当者

導入・運用担当者は、E2Eテスト自動化ツールの導入および運用を管理する責任者です。この方はツールの選定から導入、トレーニング、そして実際の運用までを担当します。

導入段階では、ツールの評価や比較を行い、プロジェクトの要件に最適なツールを選択します。そして、選定されたツールの導入計画を策定し、チーム全体にトレーニングを提供することが主な責務です。

運用段階では、テストスクリプトの作成や実行、結果の分析、および必要に応じたメンテナンスを行います。また、問題解決や改善のためのリーダーシップを発揮し、ツールの最適な利用を確保することが大切です。

求められるスキル感は選定するツールにより異なりますが、カスタマイズ性の高いツールを選定すると、技術的な知識やプロジェクト管理能力が求められるため、よりチーム内での連携とコミュニケーションが重要になるでしょう。

テスト戦略や計画の策定

テスト戦略や計画の策定は、E2Eテスト自動化プロセスの重要な段階です。まず、プロジェクトの要件や目標を理解し、テストの範囲と優先順位を決定します。

次に、自動化されるテストケースの選択や優先度付けを行い、それに基づいてテストスクリプトの作成を進めます。さらに、テストの実施頻度や環境の設定、結果の報告方法などを定め、それらを文書化することが大切です。

また、テストデータやリソースの確保、およびスケジュールの調整も重要になります。この過程では、チーム内の関係者との協力やコミュニケーションが不可欠です。戦略と計画は柔軟性を持たせ、プロジェクトの進捗や変更に適応できるように調整することが必要になります。

このように、計画策定をスムーズに効率よく行うことで、E2Eテスト自動化を問題なく進めることが可能です。弊社ではそういった「計画策定」の支援を提供しておりますので、興味のある方はぜひ参照ください。

テスト自動化を失敗しないために

テスト自動化を失敗しないためには、いくつかのポイントに留意する必要があります。

まず、テストシナリオが簡単に作れるツールを選択することが重要です。ノーコード型ツールや使いやすいインターフェースであるツールは、スムーズな導入と効率的なテストスクリプトの作成を可能にします。

また、導入サポート・運用サポートが充実したツールを選ぶことも重要になります。導入段階から運用段階まで、ベンダーからの支援があることで、トラブルシューティングやスキルの向上がスムーズになるでしょう。

さらに、中長期的な費用対効果を考慮し、ライセンス費用やメンテナンスコスト、トレーニング費用などを総合的に評価することも必要です。安価なツールが初期コストで魅力的に見えるかもしれませんが、機能やサポートが不足している場合は、長期的な利益に影響する可能性があります。

よって、綿密な検討と比較を行い、最適なツールを選択することが成功への鍵となるでしょう。

テストシナリオが簡単に作れるツールを選ぶ

E2Eテスト自動化は、最初にテストシナリオの作成を行う必要があるため、プロジェクト初期に作成コストが一定掛かることは避けられません。しかし、テストシナリオ作成が楽なツールであれば、初期のテスト作成フェーズを楽に進めることができるでしょう。

その結果、プロジェクトの開始段階から自動化の利点を得ることができ、効率的なテストプロセスを確立することが可能です。さらに、テストが自動化されると、実行や結果の分析が自動化され、作業効率が向上します。

これにより、テスト作業の効率化や品質向上が実現し、結果としてコストメリットが顕著に現れます。そのため、テストシナリオが簡単に作成できるツールを選ぶことは、プロジェクト全体の成功に向けた重要な一手段になるでしょう。

導入サポート・運用サポートが充実したものを選ぶ

先述の通り、自動化ツール導入時の負担を減らすため、導入サポートを提供しているサービスもあります。この導入サポートは、ツールの導入手順や基本的な操作方法のトレーニング、および問題解決の支援を含んでいることが多いです。

また、テスト戦略や計画の策定のサポートを提供しているサービスもあります。これにより、専門的なアドバイスやベストプラクティスの共有を受けることができ、自動化プロジェクトがよりスムーズに進められるでしょう。

導入サポートと運用サポートが充実したツールを選ぶことで、チームはより効率的に自動化を活用し、品質向上やプロジェクトの成功に貢献することができます。

中長期的な費用対効果で選ぶ

中長期的な費用対効果でツールを選ぶ際には、テストシナリオを作成しやすいことが重要です。

初期の導入コストだけでなく、将来的な運用や拡張においても効率的に利用できるかどうかを考慮する必要があります。また、テスト自動化が軌道に乗ると、他のプロダクトへの横展開が計画されることもあるでしょう。

その際に、特定の人にしか使い方がわからないツールでは、組織全体での利用や拡大が困難になります。よって、中長期的な視点からは、他のユーザーも使いやすいという観点でツールを選択することが重要です。

その結果、横展開や他のプロジェクトへの適用がスムーズになり、テスト自動化の本来のポテンシャルを最大限に引き出すことができるでしょう。

Autifyでは、テスト自動化を始める際の第一歩、失敗パターンを回避する方法 などをまとめた「ソフトウェアテスト自動化ジャーニーの歩み方」というお役立ち資料もご用意しておりますので、是非そちらもチェックください。

E2Eテスト自動化ツールの例

ここでは、WebアプリケーションのE2Eテスト自動化ツールの例として、Autify、Selenium、Cypress、Playwrightを取り上げます。

Autifyはノーコードで利用できる点や優れたGUIが用意されており、非技術者でも利用しやすく、機械学習によるスクリプトの作成や保守が容易という特徴があります。

Seleniumは古くから使われており、豊富なコミュニティとドキュメントがあるため、手始めに利用される方が多いです。

CypressはモダンなWebアプリケーション向けに特化しており、リアルタイムのデバッグが可能という特徴があります。Playwrightは異なるブラウザでのテストを簡単に行える点で魅力的です。

上記で触れたツールについて、以下で詳しく解説します。

Autify

Autifyは、AIを活用したノーコードのソフトウェアテスト自動化プラットフォームです。

ユーザーが行う操作を記録することでテストシナリオを作成し、AIがUIの変更を追跡してテストを自動的に更新します。これにより、手動テストやテスト作成のための時間を節約し、リリースサイクルを高速化することが可能です。

また、複数のブラウザで同時にテストを実行することで、テストの頻度とカバレッジを最大化することができます。Autifyは、プログラミングスキルがなくても簡単にテストを作成できるため、テスト自動化をスケールアップすることが可能です。

Selenium

Seleniumは、ブラウザの自動操作を可能にするツール群で、主にWebアプリケーションのテストやWebスクレイピングに利用されます。

対応プラットフォームはWindows、Linux、macOSで、Java、Python、Ruby、JavaScript、C#など多くのプログラミング言語に対応しているのが特徴です。

Selenium IDE、Selenium WebDriver、Selenium Gridなどの種類があり、それぞれ異なる機能を提供します。例えば、Selenium IDEはブラウザ操作の記録・再生が可能な拡張機能で、プログラミング不要で利用可能です。

一方、Selenium WebDriverはより高度なブラウザ操作をスクリプトを通じて実行するフレームワークです。Seleniumはその柔軟性と多様な言語・プラットフォームへの対応により、幅広いユーザーに選ばれています。

Cypress

Cypressは、JavaScriptで書かれたモダンなWebアプリケーションのテストを行うためのオープンソースフレームワークです。

ブラウザ内で直接実行され、テストの記述、実行、デバッグを容易にします。Cypressは、テストの信頼性を高めるために、ユーザーの操作を模倣するように設計されており、テストの不安定さを排除することを目指しているのが特徴です。

CI環境への統合もシンプルで、Dockerイメージを使用するか、独自の環境を設定することができます。Cypress Cloudを利用することで、テストの並列実行や負荷分散、スペックの優先順位付けなど、CIリソースを最大限に活用することが可能です。

また、テスト結果の分析機能を通じて、テストスイートの健全性を監視し、改善点を見つけることができます。

Playwright

Playwrightは、モダンなWebアプリケーションのエンドツーエンドテストに特化したオープンソースのテストフレームワークです。

Chromium、WebKit、Firefoxなどの主要なブラウザエンジンをサポートし、Windows、Linux、macOSでのテストができます。Playwrightは、要素が操作可能になるまで自動的に待機するAuto-wait機能や、動的なWebに特化したWeb-first assertionsを提供し、不安定なテストを排除します。

また、テストの再試行戦略を設定し、実行トレース、ビデオ、スクリーンショットをキャプチャするTracing機能も備えている点が特徴です。Playwrightは、テストの記述、実行、デバッグを容易にする強力なツールセットを提供し、開発者の生産性を向上させることを目指しています。

まとめ

E2Eテスト自動化ツールの選択は、プロジェクトの成否に直結する重要な決定です。

ノーコード型とコード型ツールの比較や、導入費用や運用サポートの充実度、中長期的な費用対効果などを考慮して慎重に選びましょう。AutifyやSelenium、Cypress、Playwrightなどのツールは、それぞれ独自の特徴や利点を持っています。

選択したツールがプロジェクトの将来的な拡大や他のチームへの展開にも対応できるよう、長期的な視野を持って検討しましょう。最終的には、テスト自動化の成功に向けてスムーズな道筋を描くことが重要です。