グローバル組織が向き合う4つの違いと、Autifyのこれまでの取り組み

Autify, Inc.

2021年10月6日、Autifyは約11億円のシリーズAでの資金調達Autify for Mobileの正式リリースを発表いたしました。 それに伴い、Autifyで働くそれぞれのチームが日頃どのような業務をしており、どのような “Aim High” をしているのかをご紹介する「みんなの”Aim High”」を連載形式でお届けします。 今回は、AutifyがグローバルNo.1を目指す上でのチームビルド、チーム運営における “Aim High” をCOOの清水が解説します。

“Aim High” とは?

わたしたちはコーポレートバリューとして

  • Solve burning needs
  • Aim high, stay grounded
  • Ownership & collaboration

を掲げています。

その中でのキーワードのひとつ、“Aim High”をテーマに今後Autifyがどのような飛躍を目指しているのかをご紹介します。

こんにちは、Autifyの清水です。

今日は以前のhatty hour (open office)でお話した内容を整理しながらグローバル組織を設計していくうえでどんなことを意識しているかを書いていきます。

「グローバル組織」という曖昧な言葉から話を始めない

タイトルにつけておいて恐縮ですが、このテーマについて話すときにスタート地点で「グローバル組織」という言葉をより深堀りして正しく定義していくことが大事だなと感じます。

グローバル組織とはなんでしょう?様々な言語を用いる人の集まり?多国籍なチーム?世界中にちらばったチーム?みなさんだったらどう定義するでしょうか。

これらの特徴は、あくまで変数に過ぎません。つまり、日本人だけ、日本語話者だけで構成された会社と比べて、グローバル組織は以下のような違いがより顕著に存在する組織であると仮定できます。

  • 前提が違う
  • 言葉が違う
  • 時間が違う
  • 場所が違う

逆にいえば上4つ以外は同じで、これら4つの変数をどう設定して会社の根幹を設計していくかがグローバルな組織を建設的につくっていく上でもっとも大事なポイントだと個人的には思います。

またこの4つに対するスタンスを整理すると個社ごとの方針もうまく整理できると思います。今回は、Autifyがそれぞれに対してどういうスタンスでどんな取り組みを具体的にしているかを紹介していきます。

Autifyの4つの違いに関するスタンス

Autifyは4つの点に関して以下のような方針を現状とっています。

前提 → 一部統一 (culture/value)

言葉 → 統一 (English)

時間 → 今はなるべく統一

場所 → 違う前提で設計

時期やフェーズによってかわっていくものと思いますが、現状はこんな感じです。時間はUSリージョンのメンバーが増えているので再考が必要なフェーズになりつつあります。

前提の違い: 大きく違うからこそ統一するコアな部分を明確にする

まずは前提の違いについて。前提は日本の組織だけであっても個人によって当然ながら違っていると思いますが、それが多国籍になるとより生まれ育った環境や価値観が多様になます。より齟齬が生まれやすく、チームワークを発揮しにくくなる原因になりうるポイントだと思います。

Autifyでは王道に会社のカルチャーやValueをしっかり理解・共感できるメンバーを集め、違いを認めながらも統一して持つべきマインドや価値観を明文化することを大事にしてきました。

組織が10人越えたころからOKRや評価制度など社内のアラインメントの設計を始めました。また採用や評価にValueを組み込み、大事にしたいマインドや価値観を共有できているか確認し、改善していく設計をしています。

↑採用プロセスにもValueに沿った評価軸で必ずカルチャーフィットしそうかを確認

言葉の違い: 英語に統一

ここが一番日本のスタートアップにとって肝でありネックになる違いであると思います。言語が違ってしまうことの負の側面はもちろんコミュニケーションです。海外の企業であれば暗黙の前提で英語ですが、日本企業からすると大きな選択になると思います。

Autifyは公用語を英語で統一することを選択してきました。これはすごく大事な判断であり正しい判断であったなと自分が入って1年以上見てきて痛感します。

言語が違うと、なんでも情報共有にコストがかかるということになり、大変かつストレスフルであったと今の環境と比べて思います。自分は日本語オンリーのチームで開発の一部依頼先が海外であったり、エンジニアチームに一部英語話者がいるケースなども経験してきました。日本ではそういった部分的に英語が入るというケースが今も多いと思います。この場合、言語の違いに対する抜本的なソリューションがなかなかなく、結局はどちらかの言語に情報が偏り、一方に不満が積もっていくということがよく起きてしまいました。

このタイプのストレスや手間がAutifyでは非常に少ないです。英語を使うと決まっているので、言語の違いに関する議論自体がほぼ発生しません。これは日本で多国籍なチームを運営する上で非常に大きなメリットだと感じます。

↑リモートでの全社会議の風景。英語話者が1人でもいれば基本的に英語をみな使います。

Autifyでは、日本市場のセールスやカスタマーサポートなどの例外を除き、全てのコミュニケーションとドキュメンテーションに英語を使っています。もちろん語学のキャッチアップを求められる大変さは多少はありますが、第二言語として英語を使うメンバーが大半なので英語圏の会社で働くほどハードルも高くないと思います。なにより素晴らしいのは、1年足らずで英語力が大きく向上しているメンバーもたくさんいることです。

時間の違い: チームごとにある程度統一

時間の違いとは、働くときのタイムゾーンのことです。日本はJST(UTC +9)のタイムゾーンにいます。ここを合わせるか合わせないか、どこは合わせるのか、どこは合わせないのかもグローバル組織を設計するうえでとても大事な軸だと思います。

Autifyでは、チームによってタイムゾーンを揃えるかどうかを決めています。

開発チームはアジャイル開発が基本で、Daily mtgやSprint planningなどで同期的なコミュニケーションも大事にしているので、実は開発チームに限ってはタイムゾーンがJST付近で働ける範囲に今はメンバーを絞っています。とはいえパキスタンからカナダまでメンバーはいて、採用面でも候補者の働くタイムゾーンを日本に限定せず広くとれることは有利に働いています。

逆にUS sales teamは日本のメンバーとは非同期前提で、USのタイムゾーン(UTC -6から-8)周辺で働けるメンバーで構成されています。

今後USのタイムゾーンのメンバーが増えると、非同期にせざるを得ないコミュニケーションであったり、逆に現地で採用を優先したほうがいいポジションも増えてきそうで、ここがグローバルな組織を設計していくうえで面白くもあり、難しいところでもあると感じます。Autifyとしても今後会社の成長に合わせてかなり変わっていく部分だと思います。

場所の違い: 違う前提で全てを設計

場所の違いについては、今となっては全ての企業が同じ設定になりつつあります。コロナ前まではほとんどの企業が同じ場所=オフィスで働く前提でしたが、今では多くの会社が多様な場所からの勤務を推奨していますね。

グローバル組織をつくるうえでは、コロナに関係なく現状のような場所にとらわれない、オフィスで集まれる前提でない組織の設計が必要とされるでしょう。

Autifyとしてもあらゆることをリモートでも可能であることを重視し、実際に2020年にオフィスも解約してフルリモートとなりました。具体的には全体会議(all hands)は基本的にフルリモートでzoom上で実施し、リアルスペースを使うときもすべて配信前提、リモートでの参加への配慮を必須にした形で行っています。

日本国内でも関東圏だけでなく岡山や佐賀などに住む優秀なメンバーがjoinしてくれ、USでも各地から候補者をつのれており、今では当たり前のファクターではありますが、今後も働く場所は違う前提ですべてが設計されていくと思います。

グローバル組織は One-way door? Two-way door?

あくまで個人的な経験則ですが、今回あげた4つの違いへのアプローチは、Two-way door (後戻りできる判断)だと思っていましたが、限りなく One-way door (一度判断したら変えられないもの)に近いと思います。

つまり、日本で会社をグローバルな組織にするならその判断はできる限り早くしたほうがいい、ということです。

4つの要素に分解したことで理解してもらえたと思うのですが、それぞれの違いに対する方針は全社員・すべての仕事の前提をつくっています。なので人が増えるほど、会社の歴史が長くなるほど変え難くなります。正確には変えられるが、変えるのがとても大変ということです。

Autifyが公用語を英語に切り替えたのは社員数が10名弱のころです。このときの切り替えにはそこまで大きなコストはかからなかったと聞いていますが、これを数年後の100名体制のときに変えるとなったら非常にドラスティックで時間もかかり、負の側面も伴う大変な判断になると思います。別軸のタイムゾーンやロケーションも、広げる分には可能ですが、縮小は現実的ではないでしょう。

もちろん現実的に少人数フェーズ(シリーズAやPMF前後)でこれらをすべて判断しきるのはリスクもあると思います。ですがそれ以上にAutifyでは早い段階で判断したことでのメリットを多く享受できているように思います。

これからの挑戦

以上4つの違いの観点にそってAutifyがどうグローバル組織を設計・運営しているのかを書いてみました。

おそらく今後はメガベンチャーや大手だけでなく、グローバルに人材を迎え入れて成長していく企業が増えるのではないかと思います。特に開発者にかんしてはその波がきているように思います。そんなときにグローバル組織というふわっとした言葉で終わらせず、地に足をつけた議論をするための観点とAutifyの事例を紹介しました。なにか参考になれば幸いです。

また絶賛採用強化中となっておりますので、ぜひお気軽にご応募、Open officeへのご参加、カジュアル面談への応募等よろしくお願い致します。

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