自社実践で辿り着いたAI駆動開発時代の品質保証: Autifyがプラットフォーム化に踏み切った理由
「コードを書くのは速くなったのに、そのぶんテストが追いつかない」
最近、開発の現場でこういう声を本当によく聞くようになりました。生成AIのおかげでコーディングは一気に楽になったのに、書いたものがちゃんと動くかを確かめる作業のほうは、いまも人の手に大きく頼っている。そのアンバランスに、多くのチームが頭を悩ませています。
これは私たちオーティファイも、日々ぶつかってきた悩みでもあります。だからこそ、自分たちで試し、使いながら鍛えてきた仕組みがあります。この記事では、オーティファイがAutifyを活用する「Autify on Autify」のリアルをお見せしながら、これからの品質保証がどんなかたちになっていくのかをお話しします。そしてその流れの中で、複数のプロダクトを1つの契約で使える「Autifyプラットフォーム」の提供を始めたことも、あわせてご紹介させてください。
- AI駆動開発で、品質保証が追いつかなくなる理由
- Autifyが日々実践している「Autify on Autify」の中身と、実際の数字
- 「Autifyプラットフォーム」になると、何がどう良くなるのか
開発は速くなった。では、テストは?
生成AIを使ったコーディングエージェントが広まって、コードが生まれるスピードは驚くほど上がりました。ところが、そのコードが本当に正しく動くのかを見届ける工程は、同じ速さでは回ってくれません。ここに、いまの開発現場の悩みが凝縮されています。
私たちは、これまで数百件におよぶお客様との商談を振り返り、この実感が思い込みではないことを確かめました。とりわけ繰り返し耳にしたのは、次のような声です。
- ●テストの設計や実行が特定の担当者に集中し、その人がいないと回らない
- ●リリースのたびに回帰(リグレッション)テストの負荷がのしかかる
- ●受け入れテストで、事業のことに詳しい人が近くにおらず、テストパターンづくりで手が止まる
詰まる場所は開発のスタイルや組織によって違います。あるときはテスト設計、別のときは実行の人手、リリース直前になると回帰テスト。複数のボトルネックが工程の間を渡り歩いていくこともあります。開発が速く回るほど、そのたびに人を増やして対応するやり方では、どうしても間に合わなくなっていきます。
「ツール1つ」ではなく「プラットフォーム」にした理由
これまでの品質保証は、工程・やりたいことそれぞれに製品やサービスを選び、別々に契約して導入するのが普通でした。けれど、実務の場面によってボトルネックが異なっていたり、AIエージェントを活用するユースケースが広がっていく場合、「必要なときに、必要な機能やQAエージェントを、必要なだけすぐ使える」状態にしておかないと、結局そこで足踏みしてしまいます。
私たちがプラットフォームというかたちを選んだのは、テストの設計から実行まで、開発と同じ速さで品質を守り続けられるようにしたかったからです。その都度製品を選び直す手間をなくし、場面に応じてQAエージェントと人が自然にかつスケーラブルに協働できる状態を、1つの場所でまるごと用意する。そういう発想です。
Autifyプラットフォームでできること
Autifyは、2026年7月22日の発表で、まずはこれまで個別に提供してきたAutify GenesisやAutify Nexusを「Autifyプラットフォーム」として一つにまとめ、1つの契約ですべて使える形で提供することをお知らせしました。あわせて、日本でもAutify Aximoの一般提供を始め、プラットフォームの構成製品となりました。
工程ごとに製品を選んで契約する、という手間がなくなる。必要な場面で必要な分QAエージェントとチームを作り、人を増やさなくても品質保証を前に進められる。これが、まとめて使えることの一番の価値だと考えています。

図:AI駆動開発に並走するQAモデル
私たちが日々やっていること「Autify on Autify」
ここからが、この記事でいちばんお伝えしたい話です。いま説明した仕組みを、私たちは自分たちの開発でそのまま使っています。
Autifyの開発チームでは、毎日いくつもの変更がリリースされていきます。その一つひとつに人手でE2Eテスト(画面の操作から結果までを通しで確認するテスト)を書ききるのは、正直に言って現実的ではありません。
デプロイしたあとのステージングや本番環境では、以前からAutify NexusによるE2Eテストが、昼夜問わずずっと品質を見張ってくれています。ここは前から継続している仕組みです。
新しく加えたのは、デプロイする前の変更に対する備えです。Autify GenesisとAutify Aximoを組み合わせた品質ゲートを、リリース予定の前夜に、自動で走らせています。動き方はこんな流れです。
- その日リリースする予定の変更内容を、QAエージェントがまず読み解く
- いまあるテストではカバーできていない観点を洗い出す
- QAエージェントが実際にブラウザを操作して、テストを実行する
- 結果をチームに共有する
しかもこの仕組みは、画面の見た目を確認して終わりではありません。セルフホスト型の製品インスタンスを実際に立ち上げ、インストールから設定変更まで、ちゃんと動くかどうかを最後まで見届けます。

図:Autify on Autify「Nightly QA Gate」の全体像
直近9回の夜で、実際に起きたこと
この「Nightly QA Gate」を、直近9回の夜間実行(2026年6月29日〜7月14日)でまとめてみると、こんな数字になりました。
ある晩には、社内の管理画面で閲覧権限を絞る変更が、本来アクセスできるはずのメンバーまで締め出しかねないリスクとして引っかかりました。もし気づかなければ、そのまま本番に出ていたかもしれません。それを、リリース前にちゃんと拾えたわけです。
※ここで紹介する検証結果は、Autifyの開発プロセスにおける一例であり、効果を保証するものではありません。
いちばん大事にしているのは、人とAIの協働
ひとつ、はっきりさせておきたいことがあります。私たちは「全部AIに任せて終わり」を目指しているわけではありません。QAエージェントが下した判定は、必ず人が確認できる状態にしてありますし、なぜその判定に至ったのかを後から辿れるようにもしています。
人がプロセス全体を見守り、ここぞという判断に集中する。手を動かす実行の多くはエージェントに任せる。この「Human on the loop」の関係こそ、私たちがいちばん大切にしているところです。
こんな場面で効いてきます
Autifyプラットフォームは、開発現場で日常的に起きる4つの場面を支えます。
- ●システムテスト:大規模な既存システムの仕様変更やレガシー改修で、Autify Genesisが仕様書からテストシナリオを自動で設計。担当者の頭の中に頼らない、網羅的な検証の実現を支援します。
- ●新機能テスト:新機能を出すたびに膨らむテスト工数に対して、Autify Genesisが設計を、Autify Aximoが実行を担い、網羅的な検証の実現を支援します。
- ●受け入れテスト:事業側の業務知識が要る受け入れテストで、QAエージェントがテストパターンづくりを支え、特定の担当者への依存をやわらげます。
- ●回帰テスト:リリースのたびに発生する回帰テストの負荷に対して、Autify Nexusが自動化と自動修復を担い、止まらずに実行し続けます。
これから目指していく品質保証のかたち
AI駆動開発の時代、品質保証は「人を増やして乗り切るもの」から「QA専用のAIエージェントが担うもの」へと、少しずつ姿を変えています。Autifyが掲げるQA-AX(Quality Assurance AI Transformation)は、QAのプロフェッショナルとAIが手を組んで、その変化を前に進めていこうという考え方です。
この先は、製品をまたいで利用量を見られる共通クレジットや、設計から実行までをもっと地続きな体験としてつないでいくことも構想しています。開発のスピードに、品質保証をちゃんと並走させる。その状態を、これからも自分たちで使いながら磨いていきます。
まずは、無理なく始められます
「面白そうだけど、導入が大変なのでは」と感じた方もいるかもしれません。Autifyプラットフォームは、いま抱えているいちばん詰まりやすい工程から小さく試し、手応えを確かめながら広げていけます。全部を一度に置き換える必要はありません。自分たちのチームに合うかたちで、少しずつ取り入れていただけます。
複数のプロダクトを1つの契約で。AI駆動開発時代の品質保証を実際にどう始められるかは、こちらからご覧いただけます。
よくある質問
Q. QAエージェントとは何ですか?
A. 仕様を読み解き、テストの設計・実行・結果の共有までを人に代わって自律的に進めるQAに特化したAIエージェントのことです。人がすべてを手作業で行うのではなく、戦略や品質判断の勘どころは人が握り、実行の多くをエージェントに任せる協働が前提になります。
Q. AI駆動開発では、なぜ品質保証が追いつかなくなるのですか?
A. 生成AIで開発スピードが上がる一方、テストの設計や実行のプロセスが同じ速さで回らず、様々な工程でボトルネックが発生するためです。そのつど人手を増やす対応では、スピードに追いつけなくなります。
Q. Autifyプラットフォームでは何ができますか?
A. Autify Genesis(テスト設計)・Autify Aximo(自律的なテスト実行)・Autify Nexus(回帰テストの自動実行と自動修復)を1つの契約で使え、必要な場面でQAエージェントと協働しながらスケーラブルな品質保証を進められます。