「無制限有給休暇制度」を導入した背景

「無制限有給休暇制度」を導入した背景

Autify, Inc.

こんにちは、Administration Teamの安田です。管理部門・バックオフィスといわれる部分を担当しています。

今回は、2022年7月にリニューアルした休暇制度の内容とともに、変更に至った背景や、導入後の社内の反応についてお伝えしたいと思います!

Autifyのあたらしい休暇制度について

Autifyでは2022年7月、「Flexible PTO制度」(以下FPTO)を導入しました。 一般的には無制限有給休暇といわれるもので、ネットフリックス社での事例が知られていますね。

日本で導入している企業はまだまだ少ない無制限有給休暇制度、まずAutifyでなぜ導入したのか?を お伝えいたします。

休暇制度をリニューアルしたきっかけ

もともとAutifyでは、法定休暇のほかに病気休暇、ワクチン休暇、こどもきゅうえん休暇(子の学校閉鎖時に有給取得可能)といった、さまざまな特別休暇があり、社員のお困りごとをキャッチしてスピーディに検討し、導入してきました。

日本は世界でも祝日が多い国であり、他国で働くメンバーへは日本の祝日の数だけ有給休暇を取ってOKといったルールを設けたりなど、休暇に対しては今回のリニューアル以前も充実していたように思います。

そして、Autifyではグローバルで採用をおこなっており、多くの外国人メンバーが入社を機に自国から遠く離れた日本へ移住しています。 外国人メンバーたちが自国で家族や友人たちと気兼ねなく過ごせるようにしたい、という考えのもと2022年初めごろから「帰国特別休暇」の検討を進めていました。

ただ、すでに複数の休暇制度が存在していたため、「さらに特別休暇の種類が増えては、かえって使いにくい制度になってしまうのでは?」という懸念もありました。

Autifyにとって本当によい休暇制度とはなにかを考えた

そこで、まずAutifyの「休暇に対する考えかた」を議論し、以下のとおり言語化しました。

この方針をもとに、さらに議論を重ねていきましたが、管理部門としては労務リスクを抑えたうえで、社員が使いやすいものにするという、二律背反のなかで最善の制度を設計することが求められます。

  • 既存の特別休暇を残すべきか?
  • 有給取得義務への対応をどうするか?
  • フリーライド問題は起きないか?
  • 今回の制度改定が不利益変更にならないか?

特にこれらのポイントが論点となりましたが、社員にとって本当の利益とはなんなのか?を追求する議論の末、「シンプルな制度にこだわる」という結論に至りました。

  1. どのような理由にも使えて
  2. 日数に上限がなく
  3. かんたんに取得できる

多くの特別休暇があるより、こんなシンプルな休暇制度が1つあったほうが、社員にとってより使いやすい、社員のさまざまなライフイベントに寄りそう制度になるように思います。

従来の休暇制度は移行措置として年内末まで利用可能とし、2023年以降の有給休暇制度はFPTOのみとしました。

さらに、この制度にした理由はもう1つあります。

Autifyではフルフレックス制を導入しており、どのように働くかは社員の裁量に任せるカルチャーが根づいています。 働く時間は自由なのに、休む日数に制限を設けるのは、会社のカルチャーとして一貫性に欠けるのではないかと考えました。

同時に、私たちは欧米市場でのシェアをさらに伸ばしていく過程にあり、グローバルでの採用市場においても、しっかり訴求できる福利厚生を実現していきたいと思っています。

これらの背景をもとに、フレキシブルに有給休暇を取得できる制度「FPTO」が誕生しました。

経営陣が模範を示すということ

ここまでが導入に至った経緯なのですが、FPTOの成功にとって大切なポイントがもう1つあります。

無制限休暇が成功する秘訣は、「経営陣が率先して模範を示す」ことにあるといわれています。

無制限有給休暇を導入した企業において、社員から「前のほうが休暇をとりやすかった・・・」という声が(ひっそりと)あがることは、よく耳にしていました。 経営陣が「みんなぜひ休んで。 あ、僕らは休まないけど」という姿勢を社員にみせてしまえば、この制度はかならず失敗します。 なぜなら、経営陣や上司が日頃とっている休暇が、メンバーがとる休暇の上限になる現象が起きてしまうためです。

Autifyにおいても、導入の際にこの点がネックになるのでは・・という懸念はゼロではありませんでした。 ただ、Autifyは「こんな制度はどうだろう?」「こんなことやってみたらどうかな?」と、経営陣が制度や環境づくりについて、前のめりにアイディアを出してくれることも多い会社です。

実際、当制度の導入を決めるMTGでは「まず僕らがしっかり休みを取って、みんなが休みやすい空気をつくろう!」と盛り上がるというアツい展開に。 事実、当制度導入の直後には、経営陣が誰よりも早いタイミングでしっかり休暇を取得してくれたことが、社内への良いメッセージにつながりました。

社内の反応は?

当制度を導入して3ヶ月、社員からは下記のような声がありました(Admin Team調べ)

  • 休暇制度の方針が明確になったので、前よりも安心感がある
  • 成果を追求するための自由といった感じで、Autifyらしい制度だと思う
  • FPTOを取りやすい空気があり、休みをとりやすい!

などなど、今のところポジディブな話をきくことが多いです。また、内定者からは「FPTOが入社決定の最後の一押しになった」いう声を聞くなど、採用面での効果も早速出ているようで嬉しい限りです!

スタートアップはスプリントではなくマラソンである

弊社代表の近澤は、育児真っ最中の2児のパパです。 近澤の1日は時差のあるU.S.メンバーとの打ち合わせからはじまり、US/JPのグローバルMTGや面接などをこなしつつ、夕方には仕事を切り上げ家族との時間を過ごす毎日を過ごしています。 もちろん、仕事の合間には保育園の送迎や子供の習いごと、行事へもよく参加しています。

そして、先日こんなことを呟いていました。

人生のなかでは、子育てだけではなく、親の介護、病気、事故など、さまざまな困難が待ちかまえています。 いま仕事に集中できる環境にあり、高いパフォーマンスを発揮しているメンバーであっても、スプリンターのように全力で走り続けることはできません。 Autifyの目指すゴールはまだまだ先にあり、その実現のためには「燃え尽きない働き方を選択すること」が大切だと考えています。

これからも続くスタートアップというマラソンのなかで、社員が燃え尽きることなく、情熱をもって働き続けられる福利厚生の仕組みをこれからも整えていきます。