公用語は英語? – AutifyのCSチームと開発チームの社内コミュニケーションにおける取り組み
こんにちは。カスタマーサクセスエンジニアの堀です。
Autifyでは多様なバックグラウンドのチームメンバーが協力しあい、皆様により良い自動テストのプラットフォームをお届けできるよう、日々取り組んでおります。 当記事では、特に顧客対応業務で連携することの多い開発チーム・CS(カスタマーサクセス)チーム間で始めたコミュニケーション改善の取り組みについてご紹介します。
開発チーム・CSチーム間での情報連携
Autifyでは、明示的にカスタマーサクセスやサポートの名前を冠したロールのメンバー以外も、全員が顧客の持つ課題を重視しています。 主に顧客との接点を持つのはCSチームで、そこから開発チームなどの他チームに情報を連携しています。連携の内容・頻度・手段は様々です。
代表的なものは、以下の3つです。
顧客からのフィードバックの連携
頻度: 週次 / 主な手段: ミーティング + チケット管理
皆様からいただく機能改善のご要望や利用上の不便な点などを、週次でCSチームからプロダクトリードへ連携しています。このような顧客の声(VoC)はフィードバックチケットに蓄積され、機能開発のアイデアや対応優先順位づけの貴重なリソースとして活用されます。
プロダクトの仕様確認
頻度: 随時 / 主な手段: Slack
顧客からお問い合わせいただいた質問のうち、まだドキュメント化されていないもの、未知の挙動を示しているものについて、その都度開発チームへ確認を行います。 成長の速いプロダクトの仕様へ正確にキャッチアップすることは容易ではありませんが、会話の中で明確になった事柄は、積極的にヘルプセンターのドキュメントへ落とし込んで日本語・英語での公開を進めています。
技術調査依頼
頻度: 随時 / 主な手段: Slack + チケット管理
テストが想定外の理由で失敗した場合など、技術的な原因調査が必要な問い合わせを受けた場合、CSチームが一次調査を行います。しかし、プロダクトの深いロジックに関連する事象や環境固有の問題など、CSチームのみで解決が難しいケースでは、開発チームへ調査依頼が起票されます。さらにプロダクトの改修が必要と判明した場合には、エンジニアのバックログが起票されます。 特にTSE(テクニカルサポートエンジニア)が大活躍する領域で、複雑な事象の成り立ちが鮮やかに紐解かれる様子は見事なものです。
(TSEの職務の詳細はぜひ「全てを知りたいと思う人のための「テクニカルサポートエンジニア」という選択肢」もご覧ください!)
チーム間コミュニケーションで発生した課題
さて、先ほど挙げたような情報連携は、これまで下図のような体制で行われてきました。
左端の顧客からのチャットによるお問い合わせを起点に、CSチームがSlackやチケットを通じて開発チームのTSEやリードメンバーへ情報連携する構図です。
ここで鍵となるのが「言語」です。
CSチームは全員が日本語ネイティブであり、かつ現時点では顧客からのお問い合わせも主に日本語でいただくことが多いため、チーム内のドキュメンテーションやチケット管理、日常的なコミュニケーションは自然に日本語となっていました。
一方の開発チームは、約半数が非日本語ネイティブ(日本語学習中のメンバーも含む)であり、情報管理やコミュニケーションは英語が基本です。技術調査の結果、開発チームでの改修が必要になった場合のバックログのチケットも、英語で起票されます。ただし、TSEや開発チームのリードメンバーは同時に日本語ネイティブでもあり、CSチームとのコミュニケーションは日本語で行うことが中心です。
このようなチーム構成で、随時発生するプロダクトの仕様確認や技術調査依頼を日本語のみで行うと、以下のような問題が発生しました。
- 特定の日本語ネイティブの開発チームメンバーにコミュニケーション負荷が集中してしまう
- 非日本語話者である開発チームのメンバーがCSチーム起点の情報にアクセスしづらく、コンテキストを得られにくい
- 非日本語話者にも理解可能な形で情報が提供されれば、より早く対応が行えたはずの対応が後手に回ってしまう
これらの課題意識を念頭に、開発チームとCSチームは話し合いの場を設けました。
はじめた改善の試み
話し合いではチーム間のコミュニケーションを全て英語化する案も出されましたが、顧客とのやりとりまで翻訳するのは現実的ではありません。また質問が込み入ったものである場合、翻訳によって意図が充分に伝わらなくなる可能性もあります。
議論の結果、CSチームから開発チームへの技術的な質問や調査依頼を行う際には、日本語と英語を併用する基本方針が固まりました。これにより、バックログを介さずとも全ての開発メンバーがCSチーム起点の情報に直接アクセスできるようになり、コミュニケーションを分散させるとともに対応スピードを早めることが狙いです。
一方で、以下のような懸念もありました。
- 英語の習熟度は皆それぞれ異なっており(※1)、多くのメンバーにとって母国語に比べて目にとまりづらいため情報を見落としやすくなるのではないか
- 自動翻訳などのサービスを活用したとしても、翻訳の過程で微妙なニュアンス等が失われてしまうのではないか
これらの懸念はもっともなもので、それぞれに対し現段階で留意しようと考えている点には以下が挙げられます。
仕様確認や技術調査依頼の対訳に懸念があればリードメンバーへ確認する
技術的な説明は日本語でも容易ではないケースが多々ある以上、英文に不安があったり伝わりづらいと思うところがあれば、遠慮なくTSEや開発チームのリードメンバーへ確認することになりました。
また、日本語学習中のメンバーからは「『やさしい日本語』を使ってくれたらともっと手伝える!」といった声も聞かれたので、日本語の書き方もあわせて工夫するのも一考でしょう。
顧客の声(VoC)は必ずいただいたときの言語で残す
顧客の声は、特に翻訳によって失われる部分が無視できません。いただいたときの言語での記録が第一で、対訳を添えるとしても参考までの位置付けとなります。 今後、英語でいただく顧客フィードバックが増えてくれば、英語で蓄積される顧客の声も増えて来るかもしれません。
コミュニケーションから得られた情報をナレッジ化していく
CSチームからのリクエストに応対できる開発メンバーが分散しても、過去にもあったような内容を繰り返し確認してしまっていては、コミュニケーションの総量はむしろ増えていってしまう可能性があります。
このため、顧客向けFAQの強化とあわせて社内FAQも整備していくこととなりました。
もしかすると、皆様が見てくださっているFAQのページは、CSチームが開発チームを質問責めにした結果の産物かもしれません!
おわりに
コミュニケーション改善の議論を通じて感じたのは、言語の習熟度もまた、私たちが個々に持つ多様性の一つであるという点です。 現在の試みもまだ始まったばかりで、今後もより良くできそうなことがあれば随時やりかたを変えながら、試行錯誤していくことになるでしょう。
Autifyには、何か課題を感じたら気軽にチームを超えて議論し、改善に向けて協力しあえる良さがあります。
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※1 Autifyでは英語学習プログラムを用意しており、各人の習熟度に合わせて英語の上達を後押ししています。