QA・テスト関連ニュースまとめ STAC2024特別号
https://testautomationresearch.connpass.com/event/333442/
年末を飾る自動テストのお祭り、ソフトウェアテスト自動化カンファレンス!今年は珍しく(?)Autifyからの登壇はありませんでしたが、そのぶん純粋に参加者として話を聞くことが出来ました。だいたい、聞きたい話が自分と同時間帯だったりして、聞けなかったりするんですよね。
面白い話が盛り沢山でしたが、中でも印象に残った部分をいくつかピックアップします!書き手は毎度おなじみ品質エバンジェリストの末村 (@tsueeemura) です。
先駆者たちの言葉:『Automation Awesomeness』を読む / Mark Wardさん
https://www.amazon.com/Automation-Awesomeness-actionable-affirmations-automation-ebook/dp/B0C6FVBW9Z
Test Guild という老舗のポッドキャスト/Youtubeチャンネルでこれまで行われた凄腕エンジニアたちからのインタビューを元に、自動テストについての考え方を引用した書籍 “Automation Awesomeness” についての紹介。
残念ながら今のところ資料は公開されていないようですが、Simon Stewart (Seleniumの作者) の話から始まり、盛りだくさんの良い話でした。翻訳も進んでいるらしいので楽しみ!
テスト自動化失敗から再挑戦しチームにオーナーシップを委譲した話 / machoさん
https://speakerdeck.com/ma_cho29/stac2024-macho
個人の興味関心から始めたテスト自動化を開発チームの運用に載せられず一度は失敗し、それから再挑戦した話。ノーコードツールでは満足できずCypressで書き直し、偽陽性やオーナーシップなど様々な課題に立ち向かう話でした。
個人的に良いと思ったのはFlakyテストとの戦い方で、優先順位を付けて何をフェーズゲートにするのかを決めておくというもの。全てを技術だけで解決しようとすると消耗してしまうので、こういう考え方はとても重要だと思います。
ちなみに隠れた(?)見どころは2ページ目だと思います。この筋肉があれば何でもできる!
属人化したE2E自動テストをひも解く / honaminさん
https://speakerdeck.com/honamin09/shu-ren-hua-sitae2ezi-dong-tesutowo-himojie-ku
今年4月にジョインされたhonaminさんが、入社後に「なんだかやばい」を集めて紐解いていった話。
「なんだかやばいマップ」、インパクトありますね!
今ある課題を一つずつ可視化していくことで、いま何をすべきかを明らかにしていく、とても良い目標の立て方だと思いました。
「これから取り組むこと」もとても良かったです。
ビットキーの中核を担うプロダクトでテスト自動化を駆使して安定的なリリースを実現する / 大高浩太郎さん
Bitkeyの認証・認可基盤を提供する bitkey platform のAPIシナリオテストを Jupyter Notebook で記述・管理・実行する話。
シナリオテストの記述方法はいろいろな流儀があって、例えば BDD などもシナリオテストの記述方法の一つだと思いますが、Jupyter Notebookだとシナリオと実装を混ぜて書けますね。これはなかなかおもしろいような気がします。
どうでもいいけど、ジュ“ピ”ターとジュ“パイ”ター、みんなどっちで読んでます?
ネット銀行におけるスマートフォン実機を用いたテスト自動化について / 坂本豪志さん
Banking as a Service (BaaS) として様々な企業に銀行業務を提供し、毎年複数個のアプリをリリースしている企業でのスマートフォン実機を用いたテストについて。
2011年頃の時点で既にiOS/Android両方を扱うモバイルエンジニアだったベテランエンジニアによるモバイル実機テストの発表ということで、非常に骨太な内容でした。技術の話にとどまらず、外部アプリベンダーが絡むがゆえにCI/CDパイプラインを構築しにくい、などなど……
残念ながら資料公開が無さそうでしたが、めちゃくちゃ良い内容でしたので、公開お待ちしてます!
スパゲッティコードが散在するプロダクトにE2Eを導入してカーネル・サンダースの呪いを解いた話 / 藤掛治さん
ギャー、タイトルを聞いただけで怖い!
メール共有サービスを提供している企業で、行き過ぎた共通化により依存関係の複雑さによる予測不能な不具合の発生と、それを防止するためのE2Eテスト(スモークテスト、回帰テスト)をやってみたという話でした。
資料は後日公開予定とのことなので、見つけたら追記しておきます。
まだチケットを手動で書いてるの?!GitHub Actionsと生成AIでチケットの作成を自動化してみた話 / 片山嘉誉さん
https://speakerdeck.com/shift_evolve/20241207-yoshinori-katayama
https://note.shiftinc.jp/n/n372f9c1db08a?gs=fc9e03f49b0e
お、「まだ◯◯で消耗してるの?」構文だ!久しぶりに見ましたね。この構文のタイトルの発表はだいたい面白いですからね。
生成AIを用いた子チケットの生成と、GitHub Actionsを用いた自動化の話でした。
後半ではチケット生成プロンプトの紹介もありましたので、是非元資料の方も読んでみてください。
個人的にはこのアーキテクチャだけでめちゃくちゃ勉強になりました。
SETを約10年やってみたけど質問ある? / 大園博昭さん
https://speakerdeck.com/o3/any-questions-about-my-10-years-set-career
Software Engineer in Test 略してSETを10年やっていた大園さんによるAMA(Ask Me Anything)セッション。
色々ご縁もあって大園さんとは仲良くさせていただいてますが、彼が初めて東京の大きな舞台で登壇した2018年の Line Developer Meetup Tokyo #39 は、実は僕(末村)にとっては初めて参加した品質保証・テスト関連のイベントだったりします。大園さんはテストのレポーターをVue.jsで自作した話をしていて、「テストにこんなに投資する会社があるのか」とびっくりした覚えがあります。にしさん(故・西康晴先生)の講演を初めて聞いたのもここでした。僕にとってエポックメイキングな年だったので、いまだに覚えていますし、結構頻繁にこの話をしています。
登壇資料、全ページ良かったのですが、特に良いと思ったのはここですね。
プログラマーの中では良く知られている YAGNI原則 (You Ain’t Gonna Need It = 機能はそれが本当に必要な時まで追加すべきでない)というものがありますが、必要でもないのに「流行っているから」「勉強会で聞いたから」というような理由でロールを追加するのはバッドプラクティスです。自動化プラットフォームやインフラストラクチャの構築といったSET特有の技術スタック、専門性の貴重さを理解し、それがチームに足りないことを理解し、かつ自分たちで学習するのが難しい場合にのみSETというポジションを新設すべきなんじゃないかなと個人的には思っています。
なに、必要性は理解しているけど採用が難しい?良いツールありますよ、Autify って言うんですけどね…… 😂
その他
STACといえば毎年の「定点観測」アンケート!10年間同じ尺度でこの業界を計測し続けたデータは非常に貴重だと思います。
その他の資料はConnpassからどうぞ!
https://testautomationresearch.connpass.com/event/333442/presentation/