Autify Community Meetup 2026 #1 イベントレポート
「自動テストの安定化」~ユーザー事例から学ぶ実践知~
2026年3月12日(木)、Autify東日本橋オフィスにて「Autify Community Meetup 2026 #1」を開催しました。今回のテーマは 「自動テストの安定化」。3名のスピーカーにご登壇いただき、現場で磨かれた実践知を共有いただきました!!

イベント開催の背景
2025年12月の顧客満足度調査にて、多くの皆さまから「テスト実行の不安定さ(フレーキーテスト)」に関する改善要望をいただきました。この声を重く受け止め、すでに高度な自動化を実現されているユーザーの実践知をコミュニティ全体で共有する場として、本イベントを企画しました。
乾杯の挨拶で弊社CFO・後藤より「AIの登場に伴い、開発・品質のスタンダードが変わっていく中で、我々がどのように貢献していけるか、本日は新しいアプローチも発表させていただきます」とアナウンスし、和やかな雰囲気の中でセッションがスタートしました。
セッション1:株式会社オプロ
「オプロの事例と実践Tips ~1〜2週間を1〜2日に短縮:Autify×Salesforce テスト自動化の実践知~」
登壇者: 小川 和彦 様(シニアディレクター)

Salesforce上で動作するサブスクリプション管理SaaS「ソアスク」の開発チームを率いる小川氏。手動では1〜2週間要していた回帰テストをAutifyで自動化し、月間約45,000ステップ・年間最大60万ステップを運用するに至った実績と、そこで培った安定化の工夫を惜しみなく共有いただきました。
特に印象的だったのは、データコンペア(バージョン間のCSV比較)による不具合の事前発見。過去9バージョンで14件の不具合をリリース前に検知し、大幅なコスト削減に成功したという定量的な成果には、会場から驚きの声が上がりました。
安定化のために実践した主な工夫は以下の3点です。
- 検索条件での絞り込み:Salesforceのリスト順が不確定なため、検索条件で対象レコードを最小限に特定
- 待機時間の動的調整:月末月初のパフォーマンスばらつきを毎週末の実行結果をもとに調整し、エラーをほぼゼロに
- 堅牢なロケーター指定:動的に変化するSalesforceのDOMに対し、ID属性を積極活用
セッション2:株式会社シナプスイノベーション
「手動テストから自動テストへの再設計指針 ~運用破綻を防ぐためのシナリオ構築と実行サイクル~」
登壇者: 秋谷 拓弥 様(プロダクト開発本部)

テスト自動化に再挑戦した経験をもとに、「なぜ自動化は失敗するのか」を整理し、運用破綻を防ぐための設計思想と実行サイクルを提案されました。
セッションの核心は「手動テストをそのままコピーしない」というシンプルかつ逆説的なメッセージ。手動テストの常識を捨て、自動テスト向けに完全新規で設計し直した結果、テストカバレッジ99%を達成しています。
- 3つの罠:手動テストの完全コピー、長大なシナリオへの依存、「レコーディング」頼りの設計
- 思想の転換:「手動の常識」を捨て「自動の定石」を採用する
- 成功の方程式:設計 × 週次実行 = 鉄壁
セッション3:Autify ProService Team
「プロセスの目線からみる『自動テストの安定化』」
登壇者: 逆井さん(Autify ProService Team, Manager)

技術的なノウハウではなく、プロセスと組織の視点から自動テストの安定化を論じたのセッション。「ツールを入れたのに定着しない」という現場あるあるの原因を、実体験に基づくアンチパターンで解説されました。
- 「片手間でやらない」:忙しくなると後回しにされやすい自動化は、明確にタスクとしてアサインする
- 「都度都度やらない」:改修が続く箇所は対象外とし、「枯れた機能」を中心にリグレッションテストを整備する
- 「適用範囲をきっちり見極める」:事前アセスメントと計画、「誰が今後メンテするか」まで設計に含める
ディスカッションタイム(Ask The Speaker)

3セッション終了後は、登壇者3名への質疑応答タイム。参加者から寄せられたリアルな疑問に対して、各登壇者が現場目線で答える活発なディスカッションが繰り広げられました。
Autifyからのアップデート
イベント後半では、NexusのプロダクトアップデートとAutifyの新サービス方針の2本立てで発表が行われました。
Autify Nexus アップデート
グローバルローンチから1年が経ったNexusは、この1年でNoCode Webへのキャッチアップ、AI機能の拡張、サポート・接続性の向上など、着実に進化を重ねてきました。
今回発表されたアップデートの主なポイントは以下のとおりです。
コア管理機能の強化
- 共有グループ・ワークスペース変数の導入
- シナリオアーカイブ機能の追加
- 使用状況レポートの提供開始
AI機能の拡張(ユーザビリティ・テスト実行・自己修復の3軸で強化)
- 自然言語ステップ:テストの一部を自然言語でAIエージェントが実行
- AIですべて修正:テスト結果をもとにワンクリックで修正案を生成
- セルフヒーリングの進化:実行時ではなくテスト結果をもとに修復するフローへ改善
NexusのAI機能の根底にある考え方は 「Human-in-the-Loop」。AIが何をしているかを理解・解釈し、指示を出せる人間がいて初めてAIは価値を発揮する、という思想で設計されています。
今後のロードマップ
- 複数ウィンドウ・ディープリンクのサポート
- ロールベースのアクセス管理(大規模組織向け)
- テスト実行後のエコシステム連携・インサイト提供の強化
なお、セッション1でご紹介いただいたオプロ様でも今月からNexusへの移行を開始しており、NoCode Webで8〜9時間かかっていたテストが約4時間(半分)に短縮できる見込みとのことで、会場でも注目を集めました。

新サービス発表:SaaSからAI Coworkerへ
イベントの最後には、Autifyの新サービス「AI Coworker」が先行発表を行いました。
従来のテスト自動化は、導入後も設計や保守に人手がかかり、人間がボトルネックになる課題がありました。そこでAutifyは、単なる「SaaS(道具)」の提供から、自律型の「AIの同僚」をチームに加えるアプローチへと進化するという内容です。
新基盤では、プロのQAエンジニアの指揮のもと、3つの専門AIエージェントが連携します。「Genesis」が仕様書からテスト設計を自動生成し、「Aximo」が広範囲のテストを自律的に実行。そして「Nexus」が定期実行とテストの自己修復を担います。
本発表は翌週のプレスリリースに先駆け、コミュニティの皆さまへの先行共有として行われたものです。
イベント後に発表されたリリース内容
https://autify.jp/news/autify-ai-coworker-release
https://autify.jp/products/ai-coworker
おわりに
ご登壇いただいた小川様、秋谷様、逆井さん、そしてご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました。
今回のセッションを通じて共通して語られたのは、「自動テストは思想と運用で決まる」というメッセージ。ツールの使い方以上に、設計の考え方・組織の進め方・継続的な改善サイクルが、安定化の鍵だと改めて実感しました。
Autifyは今後もQA・テスト自動化に取り組む皆さまが 「学び・つながり・貢献し合う」 場を作り続けていきます。次回のコミュニティイベントもぜひご期待ください。
