回帰テスト自動化のススメ ~手動回帰テストを減らす10の理由~
ソフトウェア開発において、回帰テストを通してコードの変更が、意図しない影響を及ぼさないか確認するのはとても大切です。
もちろん、回帰テストを手作業で行うことは可能です。しかし、繰り返し作業は機械に任せるのがベストでしょう。そうすることで、開発者やテスターは複雑なバグの修正や新機能の開発など、創造的な作業に時間を割けるようになるからです。自動テストを行えば、開発のスピードを落とさずに高品質なソフトウェアを提供し続け、それと同時にチームメンバーに時間の余裕を持たせることもできます。
ScienceSoftのソフトウェアテストディレクター、アンドレイ・ミカエラオ氏は、次のように話します。「回帰テストを行うことで、テスト対象ソフトウェアの変更(新機能やインテグレーションの追加など)を行った後も既存の機能が動作するか見直せます。回帰テストはテスト工数の70%を占めることもあり、時間がかかる単純作業なので、一般的にテスト自動化の最有力候補とされています。」
アジャイルソフトウェア開発ライフサイクルにおいて、回帰テストを自動化していくことが不可欠です。今回の記事では、回帰テストを自動化したい主な理由を見ていきます。目次をクリックすると、各項目に移動できます。
- 工数とリソースの削減
- 自動テストを増やし、手動テストを減らす
- 継続的テスト
- 作業の無駄を減らす
- 人為的ミスの削減
- 無限にスケールできる
- 迅速なフィードバック
- テストカバレッジの向上
- 状況をより深く理解できる
- メンテナンスの削減
工数とリソースの削減
回帰テストを自動化する主なメリットとして、リソースを削減できることが挙げられます。あるコンポーネントの検証を自動化すれば、ほかのバグを修正するために時間を割くことができ、特に注意を要する事態が発生しても、手作業で調査する時間を確保できます。結果的に、お客さまにご満足いただける、バグの少ないソフトウェアをリリースできます。
新機能や機能改善への需要が高まるなか、QAチームのニーズも高まっています。熟練したプログラマー向けツール(Seleniumなど)の代わりに、Autifyのようなノーコードテスト自動化ツールを選ぶことで、開発者に大きく依存せず、短時間で導入とメンテナンスを行えます。QAチームはボトルネックを避け、柔軟に対応できるようになります。
自動テストを増やし、手動テストを減らす
回帰テストは退屈な反復作業で、時間と手間がかかります。これを自動化すれば、新リリースやプロダクトのアップグレードを検証する際に重要な一連のテストを実行し、本番環境にリリースされる前にソフトウェアコードのエラーを発見できるため、何時間もの工数削減につながります。変更内容が既存の機能に悪影響を及ぼさないことを確認するとともに、開発サイクルやデグレが起きやすいフェーズで人為的ミスの発生を防止することもできます。デグレがないか確認せずにアップデートをリリースするのは大変です。直近のアップデートによる不具合が生じ、製品を使いにくくなってしまう可能性があり、お客さまに迷惑をかけてしまうリスクも考えられます。テストを自動化することでバグを早期にキャッチできるようになります。
継続的テスト
「テストしすぎることはありません。」
QAチームがテストを自動化すると、24時間週7日体制で継続的にテストを行えます。スケジュールを設定したり、結果が出るのを待ったりしなくても、ソフトウェアの検証と分析は絶え間なく自動的に行われます。また、回帰テストを実行する頻度も指定できるため、例えば毎週実行してバグの見落としを防ぐことができます。舞台裏でこのような検証が行われる間、テスト担当者はより重要な作業に集中できます。
継続的回帰テストでは、バグがエンドユーザーに達する前にテスト担当者に通知されます。視覚的な記録とログがあるため、不具合の検出と修復を迅速に行えます。過去のリリースで遭遇したであろう不具合やクラッシュをつぶせるので、ユーザーに迷惑がかかりません。
PWV Consultantsのマネージングパートナー、ピーテル・ヴァン・アイペレン氏は、次のように話します。「ソフトウェアは常にテストされるべきです。どれくらい複雑かによりますが、開発プロセスは時間がかかるものであり、安定性と安全性を左右するのはテストです。テストし過ぎるということはありません。」
「テストはソフトウェア開発の成功に不可欠で、デプロイ後も頻繁に行うべきです。ソフトウェアは完成するものではなく、ユーザーを満足させ、必要な価値を十分に提供できたという段階に達するだけなのです。しかし、メンテナンスしなければソフトウェアは故障してしまい、かつて提供した価値が消えてしまいます。そうなると、多くのお客さまが不満を感じるはずです。そんな状況を望む人はいないでしょう。」
作業の無駄を減らす
繰り返し作業を自動化することで、手動テストに費やしていたリソースが解放され、創造的な作業に集中できます。例えば、どの機能に力を入れるべきか吟味したり、ユーザーが製品を触れる新しい方法を設計したりできるようになります。
人為的ミスの削減
「人間はミスを犯すものです」と話すのはVinPitの共同創業者、ミランダ・ヤン氏。「退屈な作業を何度も行うと、誰でも失敗する可能性があります。テスト担当者は『いつもうまくいっているから大丈夫だろう』と考え、テストを飛ばすことがあるかもしれません。このように判断する理由は、システムへの変更がモジュールに影響しないと思ったからかもしれません。結果的に、テストカバレッジが不十分になり、バグ発見が遅れる可能性があります。」テストを自動化すれば、人為的ミスを減らせます。また、ソフトウェアの今後は、人間がスケールするのではなく、AIに任せる方向に進んでいます。
無限にスケールできる
テスト担当者がしなければならない反復作業が山積みになると、テストに充てられる時間が減り、探索的テストに時間を割けなくなる恐れがあります。これにより、徹底したテストを行えず、プロジェクトの最終的な品質が低下してしまうわけです。
自動テストは、手動テストよりはるかにスピーディーに、頻繁に行えるため、品質保証を無限にスケールできるようになります。
迅速なフィードバック
従来的なウォーターフォール開発では、本番環境にリリースする前の段階で回帰テストを行います。一方、新しいアジャイル開発では、反復的にテストを行い、迅速なフィードバックループが確立されるため、高い品質を維持しつつテスト工数を短縮できるのです。Autifyなどの自動化ツールを活用すれば、視覚的な記録を残し、エラーの原因を迅速に特定できます。AIは、UIの変更を学習しながらテストを実行していき、テスト担当者に変更を通知します。フィードバックループが加速化されるだけでなく、不具合も早く修復されるようになるのです。
EPAMでDevTestSecOps部長を務めるアダム・オーバック氏は、迅速なフィードバックの必要性を訴えています。「継続的テストは、開発の各段階で問題を洗い出し、対処するのに役立つテスト手法で、各ステージで絶え間なくテストを繰り返し、実用的なフィードバックを行うことで、最初から品質保証が行われるようになります。これにより開発者とプロダクトマネージャーはソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)の早い段階で重大なバグを特定・修正できるようになり、コードのエラーが本番環境にリリースされるのを防げます。」
テストカバレッジの向上
自動化はプロダクトのテストカバレッジを向上させ、追加機能の徹底した評価、そしてより高品質なアプリケーションの開発が可能になります。手動テストでは、実行可能なテスト数に上限がありますが、自動化すれば新しいテストを書く時間を確保でき、新たに作成したテストを自動テストスイートに追加できます。どんなソフトウェアプロジェクトでも、手動テストと自動テストを併用することで、業務効率と生産性が向上するわけです!
状況をより深く理解できる
ソフトウェアテストが失敗した場合、手動テストより自動テストの方が役に立ちます。自動テストなら、アプリケーションの状態を把握できるだけでなく、プログラム内部で何が起こっているか表示されますから、開発者はどこで問題が発生したか突き止められます。
メンテナンスの削減
プロダクトに機能が追加されるにつれて、回帰テストが手に負えなくなる場合があります。自動回帰テストは安くて優れた解決策ですが、データ量が多いため、人間が自動化ツールなしで管理するのは非現実的です。「扱いにくくなる前に回帰テストを自動化することが大切です」とOnTarget GroupのシニアQAエンジニアのドミトリー・ボルモトフ氏は話します。
費用対効果の高い、スケーラブルなテストを行うには、自動化が不可欠です。自動化ツールを選ぶ際は、テストスイートをはっきり把握でき、コーディングのスキルがなくてもノーコードで応用でき、メンテナンスコストを抑えられるものを探しましょう!
回帰テストの自動化を始めるのにおすすめのツール
分野のリーダーを目指すビジネスは、将来を見据えたツールを選ぶことが大切で、メンテナンスのトラブルが多いツールは避けましょう。テスト自動化を揺るがす筆頭はAIです。初期費用は必要ですが、長期的にはコスト削減につながります。ソフトウェアテスト部長のアンドレイ・ミハイロウ氏は、自動回帰テストで「テストのコストを削減できる(テスト自動化スイートの開発には多額の初期投資が必要であり、長期的に使う場合のみ投資対効果が高くなるため、長期プロジェクトに限る)」と話しています。
Autifyではこの他にも品質保証やテスト、アジャイル開発に役立つ資料を無料で公開していますので、ぜひこちらからご覧ください。