モンキーテストとは?目的やテスト方法のコツ、具体例を詳しく解説

モンキーテストの効果的な実施方法についてお悩みではありませんか?モンキーテストとは、予測不能な操作で仕様書にない不具合を発見するテストです。開発者が予想していないオペレーションにより、重大な不具合やセキュリティの脆弱性を発見します。
この記事ではモンキーテストの目的や実施のコツ、具体例を紹介します。
モンキーテストとは?
モンキーテストとは開発されたソフトウェアやシステムの仕様を一切考慮せず、無作為に操作を行うテスト手法です。
入力やボタンのクリック、画面遷移といった操作を完全にランダムに行うことで、開発者が想定していなかった不具合を発見することが目的です。
モンキーテストの由来は、猿がキーボードを無秩序に叩くような様子から名付けられたといわれています。
開発者の意図や想定を無視した操作はシステムの予期せぬ挙動を引き起こし、潜在的な脆弱性を明らかにする効果が期待できます。また、大量のランダムな操作を繰り返すことで、システムの耐久性や安定性を測る側面もあり、サイバー攻撃の飽和テストにも応用可能です。
モンキーテストとは想定外の挙動によりシステムの障害耐性を試すテストともいえるでしょう。
モンキーテストの目的
モンキーテストを行う主な目的は以下の通りです。
目的 | 解説 |
---|---|
開発者が予想していなかった不具合の発見 | 仕様書にない操作を試すため、思わぬバグやエラーを見つけ出すことが可能 |
ユーザー視点でのシステムの検証 | 全く知識のない人が使ってもシステムが異常動作を起こさないことを確認可能 |
システムの限界と耐性の検査 | 無作為な大量操作でシステムの負荷耐性や安定性を評価可能 |
モンキーテストは、システムを初めて利用するユーザーが目的を達成できるかを検査できるため、UX(ユーザーエクスペリエンス)の確認にも有効です。
また、想定外の不具合を発見するだけでなく、複合的な要素を検査できるテストといえるでしょう。
アドホックテストや探索的テストとモンキーテストの違い
モンキーテスト、アドホックテスト、探索的テストは「テストケースを作成しない」という共通点がありますが、目的や実施方法が異なります。
それぞれのテストの違いは以下の通りです。
テスト手法 | 目的 | 実施者 | 実施方法 |
---|---|---|---|
モンキーテスト | 想定外のバグ発見 | 誰でも可能 | テスターの知識や経験を考慮せず、完全に無作為な操作を行う |
アドホックテスト | テスターの知見活用 | 経験者向け | テスト担当者の経験や直感に基づいて自由にテストを行う |
探索的テスト | テスト対象の理解 | 経験者向け | テストと同時に設計を行い、テスト対象の理解を深めながらテストを進める |
本来のモンキーテストは完全にランダムなため、一般的に費用対効果は高くありません。
近年では、モンキーテストにアドホックテストの要素や探索的テストの観点を盛り込むことで、不具合の検出精度を向上させることが一般的です。
モンキーテストのやり方とコツ
モンキーテストは無作為な操作を実行することが前提ですが、より効果的に実施するためにはコツがあります。
成功率を高めるための具体的なやり方とコツを紹介します。
- モンキーテストの心構え
- モンキーテストの具体例
- 発見と記録
モンキーテストの心構え
現代のモンキーテストを始めるにあたって、重要な心構えは以下の通りです。
- 事前にテスト準備をしない
仕様書や設計書を読まずに先入観なしでテストにのぞむ - システムや画面の制約に従わない
通常では考えられないような操作を試す - 不具合の傾向をつかみテストの焦点を定める
過去の不具合や類似システムの脆弱性を事前に想定しておく
モンキーテストに探索的テスト等の要素を取り入れ、過去の事例や開発者の傾向を把握することで、効率的に不具合を検査できます。
柔軟に他のテスト手法の要素を取り込んで、テスト精度を向上させるとよいでしょう。
モンキーテストの具体例
モンキーテストを効果的に行うには設計者の意図から離れて、ユーザーになりきることが重要です。
具体例は以下の通りです。
例1:入力フォームに大量の文字を入力する
30文字の入力フォームに、2000文字のテキストデータをコピー&ペーストします。
正しい制御がなされていれば、規定文字数以上は入力できないか、システムが適切にデータを切り詰めます。
制御が不十分な場合はオーバーフローによりシステムが異常終了したり、画面表示が崩れたりするため、不具合の発見が可能です。
例2:想定外の大容量ファイルをアップロードする
ファイルのアップロード機能がある場合は、上限サイズをはるかに超えるデータをアップロードしてみます。
制御が正しければエラーが表示され、アップロードが拒否されます。
制御が不十分な場合はサーバに大きな負荷がかかることでシステムダウンしたり、挙動が極端に遅くなったりするため、不具合の発見が可能です。
例3:想定外の画面操作を行う
画面上のボタンを高速で連打したり、複数のボタンを同時に押したりしてみます。
正しく制御されていれば最初に押されたボタンが実行され、続くボタン入力はシステムが適切に判断します。
制御が不十分な場合は同じ処理が無条件に実行され、二重決済したり画面表示がフリーズしたりするため、不具合の発見が可能です。
例4:通信を遮断する
処理の途中でWi-Fiを切断するなど、通信を意図的に遮断してみます。
制御が正しければ通信異常のエラーが適切に表示され、ユーザーに現状を知らせます。
制御が不十分な場合は正常終了と表示されても実際には処理されていないことがあるため、不具合の発見が可能です。
発見と記録
モンキーテストで不具合を発見した際は、その事象を詳細に記録することが重要です。
記録がない場合は不具合が発生した操作を再現できずに、開発者が問題の解消に取り組むことが困難になります。
どのような操作を、どのような順番で行ったか、どのような画面表示になったか、エラーメッセージが表示されたかなど、できるだけ詳細な記録を残すようにしましょう。
スクリーンショットや動画を併用して、より正確な情報を開発者に伝えることが重要です。
モンキーテストの問題点
モンキーテストは準備すべき手順や確認する資料が必要ないため、手軽なテスト手法ですが以下の問題点も存在します。
- テスターの傾向や経験が反映され、完全なランダム操作が困難
- 不具合が必ず発見されるとは限らない
- 発見された不具合の再現が困難な場合がある
特に、テスト範囲が広い場合は重要な機能がテストされない可能性があります。
モンキーテストは開発者の予期せぬ不具合を抽出するテスト手法ですが、モンキーテスト単体では品質は確保できません。他のテストと併用することで効果を発揮します。
モンキーテスト自動化のメリット
手動のモンキーテストで生じる多くの問題点は、テストの自動化によって解決できます。
テスト自動化によるメリットは以下の通りです。
- ランダムなデータを大量に生成できるため、広範囲で網羅的なテストが可能
- 大量の操作を短時間で実行できるため、システムの耐久テストや負荷テストが容易
- テスト実行時の操作ログやエラーの発生状況を正確に記録できるため、不具合の再現性が高い
特に人には固有の傾向があり、完全なランダム操作が困難です。
テストの自動化は属人性を排除し、本来の「モンキーテスト」を実行するために有効な手段といえるでしょう。
Autifyによるモンキーテストの自動化
AIエージェントを搭載した「Autify Nexus」は、モンキーテストを大幅に効率化できる次世代テスト自動化プラットフォームです。「動的な値の生成」機能を利用すれば、ランダムなテストデータを簡単に生成できます。
また、AIへのチャット指示により大量のテスト実行が誰でも可能になります。多様な入力パターンによるテストの実行ログやスクリーンショットの記録により、発見された不具合の再現と迅速な対応が可能です。
Autify Nexusは自動化によって属人性を排除し、制御可能なランダム性を持たせて効率よく実現できるソリューションといえるでしょう。
詳しくは以下のニュースリリースをご参照ください。
https://autify.jp/news/launch-autify-nexus
まとめ
モンキーテストとは仕様書にない予測不能な操作で、開発者の想定外の不具合やシステムの脆弱性を発見するためのテスト手法です。手軽に始められる一方で、ランダム性が再現性の低さや不具合の見落としにつながる可能性があります。
しかし、Autify Nexusにより課題を解決し、効果的なテストの実施が可能です。Autify Nexusを活用し効果的なモンキーテストを実施してはいかがでしょうか?