テスト設計の基本から実践まで!よくある課題と解決策、効率化のコツ

Autify, Inc.
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高品質なソフトウェア開発に欠かせないのが「テスト設計」です。ソフトウェアのテストは単なるバグ検出のためだけでなく、製品やサービスの価値を守るための工程であり、ますます重要性が高まっています。その中でも、テスト設計は正しくテストを実施するために重要な工程です。

本記事では、テスト設計の基礎から実践ノウハウ、効率化のポイントまでを具体的に解説します。

テスト設計とその役割とは?

現代のソフトウェア開発では、品質とスピードの両立がますます重視されています。その鍵を握るのが「テスト設計」です。

ここでは、テスト設計の意義や全体像、実務での役割をわかりやすく解説します。

テスト設計とは

テスト設計とは、ソフトウェアやシステムに対して適切なテストを実施するために、テストの目的・範囲・方法・観点を整理し、それらを具体的なテストケースへ落とし込む作業を指します。

このプロセスでは、「ソフトウェアがどのように動作すべきか」という観点から、何を・なぜ・どのようにテストするのかを明確にし、テストの内容を計画・立案します。

テスト設計は、テストの方針や対象範囲を定めるプロセスであり、その後のテスト品質や効率を大きく左右する重要な工程です。

テストの流れ

テスト設計は、主に以下のステップで進んでいきます。

  1. テスト計画:テスト実施に関する計画(人員や期間)を定める
  2. テスト設計:観点ごとに検証内容・条件を決定し、テストケースの構造を作る
  3. テストケース作成:設計に基づき、具体的な手順や期待結果を記述
  4. テスト実施:テストを実施する
  5. 結果の分析・報告:バグの検出・品質評価・改善提案を行う
  6. テスト対象の修正と再試験:バグを修正し、対象の再テストを実施する

特にテスト設計工程は、以降のテストの品質と効率を左右する重要な位置づけです。

テスト設計とテストケースの違い

テスト設計は、テストの対象や目的、観点、条件などを明確にする「設計思想」にあたる工程です。一方、テストケースは、その設計内容に基づいて、実際にテストを実施できるよう「具体的な手順や操作内容、期待結果」を記述したものです。

例えば、「パスワード入力欄のバリデーションを検証する」というテスト設計に対して、テストケースでは「6文字未満のパスワードを入力し、エラー表示を確認する」といった具体的な操作と検証内容を定義します。

一般的に「設計」と聞くと、「ソフトウェアをどう作るか」を検討する工程を思い浮かべる方が多いかもしれません。テスト設計も同様に、「テストをどのように実施するか」という視点で、テストの構成や考え方を設計するプロセスです。そして、その設計をもとに、具体的なテストケースを作成していきます。

このように、テスト設計はテストの方針や観点を定義する上流工程であり、テストケースはそれを実行可能な形に具体化した下流工程に位置づけられます。

なお、テストの規模が小さい場合やスケジュールが限られているプロジェクトでは、テスト設計とテストケース作成を明確に分けず、一体的に進めるケースもあります。プロジェクトの特性や目的に応じて、柔軟に使い分けることが重要です。

テストの重要性

ソフトウェア開発におけるテストの目的は、バグを発見するだけではありません。「ソフトウェアが品質を担保していることの証明」と「ユーザーに提供する価値の担保」こそが、テストにおける本質的な目的です。

例えば、テストの際に発見できなかった不具合がリリース後に発覚した場合、一般的には修正するためのコストが一気に跳ね上がります。そのため、テストにより開発段階で問題を発見できれば、修正にかかるコストは最小限に抑えることが可能です。

また、バグ発見以外にも「ユーザー満足度が高いか」という点もテスト観点として重要です。挙動としては正しいが、動作が遅かったり、使いにくいUI(ユーザーインターフェース)の場合にはサービスに対する信頼性を失ってしまう、という可能性も考えられます。

一方で、「バグが一切ないソフトウェアは存在しない」という点にも注意が必要です。品質とそれに見合ったコストを見極め、QCD(Quality・Cost・Delivery)を意識しながら開発を進めるとよいでしょう。

テストの種類と観点

システム開発におけるテストは、一般的に小さな単位から始まり、徐々にその範囲を広げていくのが特徴です。ウォーターフォール型の開発プロセスでは、単体テスト、結合テスト、システムテストと段階的に進められます。

テスト名称 テスト範囲 テスト内容
単体テスト プログラム単体
(ソースコードごと)
プログラムが単体で動作するかをテストする
結合テスト APIや画面単位 プログラム同士を結合して、1つの大きな処理が正常に動作することをテストする
システムテスト システム全体 システム全体が正常に動作することをテストする

それぞれの工程では確認すべき対象や観点が異なるため、適切なテスト設計が不可欠です。

例えば、単体テストの時点ではプログラム同士の結合を考慮せずにテストを設計する必要があります。一方で、システムテストではプログラム単体での試験は正常に完了している前提で、システム全体が期待通りに動作するかを、より実運用に近い条件で確認します。細かいロジック単位の検証ではなく、ユーザー目線での動作や業務シナリオに沿ったテスト設計が求められます。

このように、それぞれのテスト工程に適した観点を押さえた設計を行うことで、品質の高いシステム開発が実現できます。

テスト設計で実施する内容

ここからは、テスト設計で実施すべき内容について解説します。

テスト対象の分析と範囲を決定する

テスト設計の第一歩は、テスト対象の明確化です。仕様書や設計書、ユーザー要件などを分析し、「どの機能を、どこまでテストするのか」という範囲を設定します。

特に、既存の大規模システムの一部を新規に開発したり、改修したりする場合は注意が必要です。追加・修正した箇所に対してテストを行うのはもちろんのこと、影響が及ぶ既存機能にも目を向ける必要があります。修正箇所が関連する機能を洗い出し、それらにもテストを実施することが重要です。

しかし、考えうるすべての範囲をテストすることは現実的ではありません。機能の重要度やリスク、ユーザー利用頻度などから優先順位をつけ、限られた工数の中で効果的なテストができるよう範囲を調整します。また、非機能要件(性能・セキュリティ・可用性など)も含めて対象を明示し、関係者間で認識を共有することも重要です。

テスト観点を定める

テスト観点とは、テストを設計する際の切り口です。例えば「入力値の妥当性」や「例外時の動作確認」などがあり、観点を明確にすることで、漏れのない網羅的なテストが実現します。

テスト観点を考える際には、「テストの結果、何を保証したいのか」を考えるとよいでしょう。ペルソナやユースケース、過去の障害履歴などを参考にします。また、チームでブレインストーミングを行い、テスト観点リストを整理することも有効です。観点は単に仕様に対する網羅性を高めるためだけでなく、想定外の使い方や負荷テストにも対応できるような観点を含めることが必要です。

テストにおける条件を設定する

設計した観点に対して、どのような条件でテストするかを決定します。

テストにおいて、「どのような条件においてどのような挙動をすべきなのか」といった観点で考えましょう。例えば「入力項目に対して、最大値・最小値・境界値を入力する」など、さまざまな条件を想定してテストケースを作成します。

この条件設定が甘いと、バグの取りこぼしやユーザー視点との乖離が生じるため、実行環境やユーザーの利用状況を想定した現実的な条件を盛り込むことが重要です。さらに、条件を整理・分類しておくことで、類似ケースの再利用やパターン漏れの確認も容易になり、テストケースの品質と効率を両立できます。

テスト条件の設定では、システムの状態、入力データのバリエーション、ユーザーの操作フロー、システム間の連携状況など、さまざまな要因を組み合わせて設計することが推奨されます。また、設計書に明記されていない「暗黙的な仕様」も考慮するとよいでしょう。実利用を前提としたテストを実施することで、設計時に想定していなかった問題が見つかるケースがあります。

代表的なテスト設計技法とその使い分け

テスト設計を進める上で、参考にすべき設計技法が存在します。本記事では、テスト技法のうち利用頻度の高い6つの技法について解説します。

同値分割

同値分割は、異なる入力に対して同じ挙動をする事項をグループ(同値クラス)に分け、各クラスから代表値を選んでテストする手法です。

例えば、最大1カ月間(30日)の日数を入力するような条件を考えた場合、1〜30の値を入力することになります。1日から30日の間で同じ挙動をするのであれば、1から30のすべての数値を入力としてテストをする必要はありません。

  • 0以下の数値
  • 1~30のどこか(例:10)
  • 30を超える数字(例:40)

の3つ値を入力としテストを実施すれば充分である、という考え方です。

境界値分析

境界値分析は、入力を変更していったときに挙動が変わる境界や、エラーが発生しやすい境界の付近(最大値・最小値・その±1)に焦点を当ててテストを実施する手法です。

例えば、月ごとに挙動が変わるような場合、月末と月初で正しい挙動をするか確認したり、0:00ちょうどの挙動を確認したりします。月が変わった際に変更されるような場合、

  • 月末の23:59
  • 月初の0:00
  • うるう年の2月29日と3月1日

といった点にフォーカスしてテストを実施します。

デシジョンテーブル

テスト対象に対する条件(入力)とその結果(出力)の組み合わせを列挙し、デシジョンテーブル(決定表)を作成することで網羅的なテストを実現する技法です。

例えば、店頭における割引率の計算をする際、「会員種別」と「支払い方法」によって割引率が変わる場合、4パターンの条件が設定できます。

会員種別 支払方法 割引
ゴールド クレジット 10%
ゴールド 現金 8%
一般 クレジット 5%
一般 現金 0%

このように、複数の条件の組み合わせによって結果が変わるような場合には有用な手法です。

CFD法

CFD法(Cause Flow Diagram)は、原因流れ図を作成し、それをもとにディシジョンテーブルを作成する技法です。

原因流れ図の作成には、前述の同値分割法を活用し、そこから入力と結果を流れ図として整理しながら進めていきます。

複数の条件を組み合わせたテストが必要な場合に特に有用であり、条件ごとに同値分割法を利用して条件を列挙していきます。それらの条件の組み合わせを作成することで、網羅的なテストが実現可能です。

ユースケース

ユースケーステストは、ユーザーが達成したい目的をユースケースとして定義し、そのフローを検証する手法です。

ユースケースでは、「誰が何をする」という目的とそれに対する結果を記述するため、システム目線ではなく利用者の目線でテストを実施します。そのため、主に結合テストやシステムテストで採用されるテスト技法です。システム設計の時点でユースケースを定義している場合には、そのユースケースを元にテストを設計します。

例として、ECサイトにおける商品購入を考えます。ユースケースの代表例としては、以下のようなものが考えられます。

  • ECサイトにログインする
  • 商品をカートに追加する
  • カート内にある商品を決済し注文を確定する

その他、クーポンの入力や友達紹介など、開発対象に応じたユースケースを設定してテストを実施します。

シナリオテスト

シナリオテストは、システム全体を横断する「物語」を通して、主要機能が連携して動くかを確認する手法です。

ユーザーがどのようにソフトウェアを使用するかに観点を置き、利用開始から終了まで一貫したテストを実施します。ユースケースよりも広い範囲をテストするため、システムテストで採用されることの多いテスト技法です。

例えば、航空券の予約システムであれば、「ログイン→座席選択→支払→メール通知→マイページで予約情報を確認する」という流れをシナリオに起こし、テストを実施します。

テスト設計において発生しがちな課題

どれだけ体系的に進めたつもりでも、実際のプロジェクト現場ではテスト設計に特有の悩みや課題が生じます。ここでは、代表的な3つの課題と解決のヒントを紹介します。

テスト設計が属人化してしまう

テスト設計には、システム開発の知識に加えて、テスト対象となるソフトウェアや、それが使用される業務への深い理解が求められます。そのため、テスト設計は担当者の経験やノウハウに依存しやすく、属人化しがちです。
特に、テストの観点や設計技法の選定基準が暗黙知のまま共有されていない場合には、以下のような課題が発生します。

  • 設計内容を特定のメンバーしか説明できない
  • 担当者の異動や離職時に引き継ぎが困難
  • 設計のばらつきにより、テスト品質が安定しない

こうした属人化を防ぐには、観点リストや設計テンプレートの標準化、設計レビューの仕組み化、ナレッジ共有の場の整備などが効果的です。さらに、設計時の意図や判断理由を文書化しておくことで、誰が見ても理解しやすい状態となり、属人化リスクの低減につながります。

テストケース数が多くなってしまい、工数が肥大化する

実務で多い悩みが、テストケースの雪だるま式増加です。網羅性を担保しようとした結果、テスト設計で設定した観点に対するテストケースが増加してしまい、テストの工数が肥大化してしまいます。

さまざまな観点でテストを実施すること自体は悪いことではありませんが、テストの実施においてはQCDのバランスを考慮する必要があります。どうしてもテストケースを減らせない場合には、リスクベーステスト(RBT)を取り入れ「重要度×発生可能性」の高いものを重点的にテストするとよいでしょう。

テスト後に新しい不具合が発覚する

事前に設計したテストで問題が見つからなかったにもかかわらず、運用開始後やリリース後に不具合が発覚するケースは少なくありません。

原因としては、テスト観点や条件の網羅不足が挙げられるほか、実運用との乖離や、設計段階で想定できなかった要件漏れ・認識のズレなども不具合発生の一因となります。

そもそも、「バグの一切ないソフトウェアは存在しない」という前提に立つことが重要です。その上で、テストフェーズで可能な限り不具合を発見・修正することが、本番環境での障害リスクを最小限に抑える鍵となります。

不具合の事前検出を強化するためには、以下のような取り組みが有効です。

  • 設計レビュー段階から複数人で観点を出し合い、過去に発生した障害やトラブルになりかけた事例(いわゆるヒヤリハット)も観点に反映させることで、より網羅的なテスト設計が可能
  • ランダム操作による探索的テストや自動化ツールの活用により、想定外の動作を検出する
  • 長時間稼働や例外的な操作といった、通常は考慮されにくいパターンを意識的に組み込む

これらを積極的に取り入れることで、テストの抜け漏れを減らし、リリース後の品質リスクを着実に抑えることが可能になります。

実務で使えるテスト設計の実践テクニック

現場のテスト設計は、理論や知識だけでなく、実践的な工夫や効率化が欠かせません。ここでは品質と工数、どちらも妥協しないためのテクニックを4つの視点で解説します。

対象システムの目的や利用背景を正しく理解する

テスト設計の出発点は、対象システムやサービスの「本来の目的」や「実際の利用シーン」を深く理解することにあります。

これらの理解が不十分なままテスト設計を進めると、重要な観点が抜け落ちたり、不要なテストに時間を割いてしまうなど、テストの過不足が発生するリスクが高まります。

質の高いテストを実現するためには、ユーザー視点に立ち、例えば「業務のどこを自動化したいのか」「どの部分が最も大きなリスクとなり得るのか」といった利用価値や優先度の高いポイントを把握することが重要です。

そのためには、開発者・運用担当・実際のユーザーへのヒアリングや現場観察が有効です。また、上流工程で作成された要求定義書、ペルソナ、業務フロー図などの資料も活用することで、より深い理解と的確なテスト設計につながります。

具体的なテストを設定できるよう記述する

テストを実施する際において、属人化を防ぐためにも、「誰が実施しても同じ検証ができるか」ということを意識します。

特に規模が大きなシステムであるほど、具体性が重要です。テストケースの作成と実施に至るまで、100人中100人が同じ理解で進める必要があることに注意しましょう。

正しい分析ができていたとしても、テスト実施者が勘違いしたままテストを進めてしまった場合、正しいテストが実施できないこともあり得えます。そのため、前提条件・操作手順・期待結果を明確に記載し、不明瞭な部分を残さないことが重要です。文章だけでなく、表形式やフローチャートなども活用すると、可読性と再現性が向上します。

過去のテスト結果を分析する

過去の障害報告やバグレポート、テスト実績は、テストの質を向上させるための貴重な改善資源です。

特に既存システムの改修を行う場合は、過去に実施したテスト結果を確認・分析することをおすすめします。これにより、追加で検証すべき観点や、そのシステム特有の傾向や「癖」が見えてきます。

また、これから実施するテストについても、事後分析がスムーズに行えるよう事前に準備を整えておくことが重要です。テスト実施後にその結果を振り返り、過去のデータと比較することで、品質の変化や傾向を把握し、今後の改善点を明確にできます。

このような継続的な分析とフィードバックの仕組みを構築することで、ソフトウェアの品質向上につながります。

ツールを利用して効率化・自動化を図る

テストの工数を抑え、品質を安定させるには、テスト管理ツールや自動化ツールの活用が不可欠です。

テスト管理ツールを導入すれば、テスト設計・ケース・進捗を一元的に管理でき、属人化や漏れの防止につながります。また、テスト自動化ツールにより、大量データを用いた検証やリグレッションテストも効率よく実施できます。

さらに近年では、AIを活用したテスト結果の分析や不具合の傾向把握も有用です。AIによる客観的な視点が加わることで、テストの精度や対応のスピード向上が期待できます。

関連記事:リグレッションテスト(回帰テスト)とは?デグレを防ぐ最新のやり方・自動化の方法を紹介

テスト設計を効率的に進めるためには

品質とスピードの両立を目指す現場では、属人性を排除し、反復可能な定型作業に落とし込むことが重要です。ここでは、効率的なテスト設計を実現するための3つのポイントを紹介します。

テスト設計をテンプレート化する

テスト設計の属人化を防ぎ、チーム全体で一定レベルの品質を保つためには、観点リストや設計書、ケース表記方法などをテンプレートとして標準化することが効果的です。

過去プロジェクトの観点・条件・ケース構造を分析し、再利用性の高いフォーマットを整備します。観点や実施内容を表にすることで、テストケースを設定する際に抜け漏れを起こさないことが可能です。テンプレートには観点リスト、条件マトリクス、期待結果の書き方などを盛り込み、設計意図や注意点も併記しておくとよいでしょう。

テンプレートを活用することで、新しく参画したメンバーでもスムーズに作業ができます。

テスト実施を意識した設計を行う

テストは、ソフトウェアが設計通りに正しく動作するかどうかを検証する重要な工程です。

しかし、設計が曖昧であれば、テストも曖昧になり、品質の確認が不十分になります。つまり、よいテストを行うためには、そもそも「よい設計」であることが前提となります。

そのため、テスト設計の段階から、「どのようにテストを実施するか」「誰がテストしても同じ結果になるか」といった再現性と実行可能性を強く意識することが重要です。

また、テストの実施にあたっては以下の点も考慮しましょう。

  • 実行環境やデータ準備のしやすさ
  • 必要な工数やスキルに見合った設計のシンプルさ
  • テストケースの明確な分割
  • 前提条件やテストデータの具体的な定義
  • 自動化しやすく、繰り返し実行に適した手順の設計

こうした観点を取り入れることで、効率的かつ信頼性の高いテストが可能となり、最終的な品質確保にもつながります。

AIを活用してテスト設計を自動化する

テスト設計を行うには、対象システムを正しく分析・理解し、適切な観点や条件に基づいて設計を行う必要があります。しかし、業務知識や技術的理解が求められるテスト設計は、属人化や工数の増大といった課題も抱えています。

こうした課題を解決する手段として、AIを活用したテスト設計の自動化が注目されています。

中でもAutify Genesisは、AIがソフトウェアの構造や振る舞いを自動で分析し、テストケースの自動生成やシナリオ作成を支援する次世代のプラットフォームです。これにより、従来は時間とスキルを要していたテスト設計業務を大幅に効率化できます。

さらに、Autifyのテスト自動化ツールと連携させることで、設計から実行までのプロセスをシームレスにAIでカバーすることも可能です。人的リソースだけでは難しかった大量のケース作成や繰り返しの実行を高速かつ安定して行える点も大きな魅力です。

もちろん、AIによる自動設計がすべて完璧というわけではありません。業務知識を持つテスト設計者のレビューや判断と組み合わせることで、AIの提案の質がさらに高まり、品質とスピードの両立が実現します。Autify Genesisを活用すれば、テスト設計の生産性を飛躍的に高めながら、属人化のリスクも最小限に抑えることが可能です。

今後の開発現場において、AIと人の協働によるテスト設計は、不可欠な選択肢となるでしょう。

まとめ

テスト設計は、ソフトウェアやシステム開発における品質保証の要です。的確なテスト設計を行うことで、バグの早期発見やリリース後の不具合回避、ビジネスリスクの低減といった多くのメリットが得られます。

本記事で解説したとおり、テスト設計では「対象」「観点」「条件」を明確にし、適切なテスト技法や工夫を組み合わせることが基本です。こうした工夫により、限られた工数でも高品質なテストを実現することが可能になります。

さらに近年では、AIの活用により、従来は経験や勘に頼っていた設計業務の一部も自動化できる時代になりました。

なかでもAutifyは、テストの自動化に加え、AIによるテスト設計支援機能「Autify Genesis」を提供しています。これにより、テスト対象をAIが解析し、自動でテストケースやシナリオを作成することが可能です。属人化や設計の抜け漏れといった課題を解消しながら、スピーディかつ安定したテスト設計・実行を実現できます。