QA・テスト関連ニュースまとめ 2024年9月第3週
イベントやSNS投稿など、話題になったもののまとめです。Autifyの品質エバンジェリスト、末村 (@tsueeemura) が書いています。
イベント
Scrum Fest Mikawa 2024
毎年開催されるスクラムのお祭り、僕は残念ながら不参加だったのですが、面白かったスライドをいくつか取り上げていきます:
やってやろうじゃないかメカアジャイル!老舗製造業がプロダクションプリンターで取り組んだハードウェアアジャイルの実例を紹介します
「作りたい機能をモジュール化し、各モジュールの組み合わせで製品機能を達成することで小規模投資、短期間での製品提供をメカでも実現していく
これはまさしくアジャイル開発で言うところのバーティカルスライスだと思うのですが、ハードウェアでやる事例は見たことがありませんでした。やりたいこともさることながら、それを実現する技術力が優れているからこそ実現できるのだと思います。素晴らしいの一言。
その問題は多様性があれば解決していたかもしれない
異なる視点、異なる意見があることで問題解決の手札を増やしていこう、そのために心理的安全性が重要だ、という話。
グイグイ系QAエンジニアリングマネージャーの仕事
様々な悩みに対して強いリーダーシップを持って「グイグイ」解決していくエンジニアリングマネージャーの実例。いわゆる「やっていき」の話なので、普段手を動かさず悩んでしまうタイプの人は読んでみると明日からグイグイやっていく気持ちになれるかも。
その他、有志でスライドをまとめてくださっている方がいらっしゃいます。
Developers Summit Kansai
7月のSummerの次は関西!Autifyもブース出展しました。大勢の方と交流できて楽しかったです。
開発エンジニアが多く、QAは少ないイメージがありましたが、今年は少なくとも6名が参加していたようです。僕はこのアンケート自体に気づかず不参加でした……
『ソフトウェア開発現場の「失敗」集めてみた。』著者、出石聡史さん @sdeishi と並んでサイン会したりしました。
弊社からは、CEOの近澤さんと、末村によるセッションがありました。その他、SNS等でスライドがシェアされていたものを中心にいくつか紹介してみます。
AIが変革するシステム開発
AIが登場したことで、システム開発がどう変化したのか、これからどう変革していくのかの話でした。特に、QAプロセスの中でも人の知識が必要だとされていた設計などのフェーズにおいてAIがサポートできるという話は、1人のQAとしてアツいですね。
「テスト自動化実践ガイド」著者直伝!読みやすいE2Eテストコードの書き方
書籍の中でも反響が大きかった「テストコードに意図を込める」章の解説です。
コメントに頼らず、テストコード自身が自分の意図を表すようなテストコードの書き方をずっと追求しつづけていて、この書籍では自分なりの最適解として コンテキスト 状態 セマンティクス という3つの表現方法について説明しました。
内製化を目指す事業会社が、システム開発会社と共に進める「開発生産性改善」の取り組み事例
トランクルーム「収納ピット」を経営する株式会社アンビシャス様の内製化への取り組み事例。かなりリアルな話が多くモリモリでした。気に入っている2枚を紹介します。
APIファースト、そしてTime To First Call削減への道筋
APIファースト自体は結構昔からある概念だと思うのですが、その周辺の「AIの使い手」が進化することで、APIファーストの価値そのものが上がるというのが興味深かったです。
【JTC】【日本語】東京ソフトウェア QA ミートアップ
https://japantestcommunity.connpass.com/event/327073/
日本で働くQAエンジニアのミートアップ。英語の回と日本語の回が半々ぐらいあり、今回は日本語でした。サイボウズさんのオフィスをお借りしました。末村も登壇しました。
この他、freeeのやまえりさんによる発表がありましたが、今のところ資料非公開。アップロードされたら追って追記します。「フィリピンでは祝日が前日に突然決まることがある」「しかもそれがフェイクニュースのときがある」というくだりがあり、笑いを堪えるのに必死でした。
余談ですが、末村の初めての登壇は2019年のSelenium Conf Tokyo事前勉強会で、その時の会場もサイボウズさんでした。凱旋講演のようで感慨深いです。
Frontendのテスト全部知る 〜Unit TestからE2Eまで〜 - Encraft #18
アーカイブがYoutubeで公開されています。
https://www.youtube.com/watch?v=-gmKElUlqZw
見どころの多いセッションでしたが、中でも良かったのは本番環境でのテストにおけるテスト用APIの扱いでした。
記事
role 属性とは、aria- 属性とは、WAI-ARIA とは、いったい何なのか、いつ使うべきなのか*
アクセシビリティ分野の第一人者であるymrlさんの記事。roleやaria-*属性は自動テストでも使うことが多いですが、誤った使い方をすると逆にアクセシビリティが悪くなる場合があります。特に、自動テストのためにやみくもに導入した結果アクセシビリティを毀損したりしては本末転倒なので、この記事は原理原則をおさらいする上で非常に参考になりました。保存版。
望ましい自動テストとは: どのようなテストが開発生産性と開発者体験を共に高めるのか
Developer eXperience Day 2024 での和田卓人氏の講演の文字起こし。全4回。
個人的には、第2回の「自動テストは信号機」という説明が分かりやすくて好きでした。ソフトウェアの品質が高いか低いかを考えるのはすごく大変なんですが、自動テストの結果の評価はとてもシンプルで、0か1かです。1つでも失敗があったら、ソフトウェアに何かおかしいことが起きているので、リリースしてはいけない。
それから、第3回のテストスコープとテストサイズの説明もとても良かったです。テストサイズだけだと、個人的にはテストレベルの一実装ぐらいに聞こえるんですが、スコープとセットで話すと分かりやすいですね。余談ですが、和田卓人さんの説明がいつもエレガントで、新しい発表や記事が出るたびに見惚れてしまいます。
なぜ自動テストの導入は失敗するのか?
2021年の記事ですが、とても良かったので。以下の引用部分が個人的に気に入っています。
自動テストにはプログラムを「部分的に実行する」という意味合いもある。プログラムを書いて、動かしながら、その動きが狙い通りか確認しながら仕上げていく。
エンジニアリングマネージャーとして私が実践したこと 3つ書いていく
カスタマーサクセス→ソフトウェアエンジニア→エンジニアリングマネージャーと社内転職してきた方の記事。QAのキャリアパスとしてもエンジニアリングマネージャーは入ってくるので、どんな仕事か気になっている人は読んでみると良いかもです。
お知らせ
中の人が休暇のため、9月4週、10月1週はお休みする予定です。またお会いしましょう!